2015年の国内の総広告費(推定)は6兆1,710億円で、前年比0.3%増という数字ながら4年連続の前年超えを果たしたことが電通の調べで明らかになった。新聞など既存媒体で減少した分をインターネット広告費の伸びが補った形になっている。
電通によると、2015年の総広告費は、企業業績の大幅な伸長、所得増への期待があったものの、前年にあったソチ冬季五輪やサッカーW杯ブラジル大会に伴う反動減、海外経済の景気減速などが影響し伸び幅は小さかった。
媒体別にみると、「マスコミ4媒体」では前年比97.6%で、内訳は、「新聞広告費」が同93.8%と落ち込みが止まらず6,000億円割れして5,679億円、「雑誌広告費」が同97.7%、「ラジオ広告費」が同98.6%、「テレビメディア広告費」は同98.8%の1兆9,323円だった。
一方、「インターネット広告費」は好調で同110.2%の1兆1,594円となり、2005年の3,777億円からみると3倍を超える伸び。新聞にダブルスコアを付け、テレビの後姿も見えてきた。スマートフォンの普及や動画サイトでの成長普及を背景に堅調に伸び、また「プログラマティック広告取引」(オーディエンスデータに基づいて自動的に広告枠の買い付けを可能にする取引形態)の浸透が進んだことが市場の伸長を後押ししたという。
厳しい新聞広告について、電通では「年間を通して前年を下回って推移しており、長期的な減少傾向にある。新聞購読部数の減少、前年の消費増税前の駆け込み需要、衆院選効果による反動などが影響した」としている。新聞広告を出した業種別では、「食品」と「金融・保険」が増加した一方で、「家電・AV機器」「エネルギー・素材・機械」「飲料・嗜好品」「自動車・関連品」などは大きく減少した。引き続き、サプリメント、健康食品などの通販商材は好調だったという。
広告の効果は様々な測定手法があるとされるものの、ナゾの多い世界だ。消費財の新聞広告がすぐに読者の購買活動に結び付くかには疑問が残るが、企業側からすると新聞広告を出すのは自社の信用のためという観点もあるという。週刊誌や書籍の広告など、読者からすれば記事の一部のようになっているものもあり、新聞広告の存在感もまだまだ捨てたものではない。(編集担当:城西泰)