獣医学部新設内部文書、徹底調査し疑惑解明せよ

2017年05月20日 10:37

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 松野文部科学大臣は19日、問題の文書について関係者のヒアリングや共有ファイルなどの中に問題の文書を確認することはできなかったとした。

 「この文書が一体どういった経緯で作成されたものなのか。文科省の方で調査する能力がない」。松野博一文部科学大臣は19日、調査放棄の発言をした。「これ以上の調査は必要ない」とも。この調査、結論ありきでなかったか。徹底調査が必要。

 問題の文書は「平成28年9月26日18時30分から18時55分までの間、内閣府審議官と参事官、文科省の課長と課長補佐の4人が学校法人加計(かけ)学園(岡山市)の大学への獣医学部新設にかかる打ち合わせを行った内部文書」とされる。

 参加者の氏名、日時、打合せ概要(獣医学部新設)まで明記され、『取扱注意』と『米印』とともに記されている。

 文書概要では「平成30年4月開学を大前提に、逆算して最短のスケジュールを作成し、共有いただきたい。これは『官邸の最高レベルが言っていること』(むしろもっと激しいことを言っている)」

 また「できない、という選択肢はなく、事務的にやることを早くやらないと責任をとることになる。早く政治トップの判断に持って行く必要あり。文科省メインで動かないといけないシチュエーションにすでになっている」と総理府の求めに応じざるを得ない追い込まれた立場に文科省があることをうかがわせる表現だ。

 加計学園は愛媛県今治市に獣医学部を開設することを安倍総理が議長を務める国家戦略特区諮問会議で今年1月20日に認定された。この文書が本物であれば、その4か月も前に、加計学園の大学に獣医学部を新設することを前提として、総理府主導で話が進んでいたことになる。安倍総理が「(獣医学部新設に関し)働き掛けていない」とした国会答弁との整合性がなくなる。

 学校法人森友学園(大阪市)への国有地払い下げで8億円の値引き根拠となった「想定外のゴミ」そのものがなかった可能性が出ている中、今度は加計学園への獣医学部新設をめぐり、加計学園の理事長が安倍総理の友人だけに、便宜を図った可能性がないのか、政治に対する不信を招く疑惑が浮上した以上、疑惑解明は当然、国の責任だろう。

 日本共産党の志位和夫委員長は記者会見で「文書は極めて信憑性が高い」と述べた。ツイッターでも「官邸の最高レベルが言っている、が事実とすれば、首相の進退に直結する重大問題。権力者による国政私物化の重大疑惑」と書き込んでいる。

 松野文部科学大臣は19日、問題の文書について関係者のヒアリングや共有ファイルなどの中に問題の文書を確認することはできなかったとした。しかし、個人のパソコンやノートについて調べていない。

 なぜ、徹底調査しないのか。国民が納得できる調査が必要だ。松野文部科学大臣が「この文書が一体どういった経緯で作成されたものなのか。文科省の方で調査する能力がない」というのであれば、文書の信憑性について、調査を終結させるのではなく、利害関係のない外部調査委員会を設置し調べさせることこそ、文科行政の所管大臣がすべき事だ。(編集担当:森高龍二)