宝くじといえば、年末ジャンボ宝くじやドリームジャンボ宝くじなど、夢を買うことができるということで不況と呼ばれて久しい中でも高い人気を集めている。また、ロト6やナンバーズなどといったものは手軽に試すことができすぐに結果もわかることからこちらも根強い人気がある。そんな宝くじの売上が減っているのだという。宝くじの売り場は相変わらず盛況だし、テレビCMなども放送されていることから一見すると売上が減少しているようには見えないものの、実際には何が起こっているのだろうか。
総務省の発表によると、平成28年度の宝くじの総売上が8452億円。実はこの売上金額は、18年ぶりに9000億円以下という数字だという。額面だけみるとかなりの金額のようなイメージがあるものの、年々少しずつ減ってきているというのだ。つまり、宝くじが売れなくなってきている、ということである。実際のところ宝くじというものは当たるかどうかということだけで考えるとかなり当選確率の低いものであり、当たらないもののためにお金をかけることはムダといえるかもしれない。しかし、確率が低いからこそ高額の当選金が設定されていると考えることもできる。宝くじを買っている人にとっては、当てようと思って買っているのではなく一時の夢を買っているというのが大きいといえるだろう。
ではなぜ、宝くじの売上が減少傾向にあるのか。その原因といえるのは、やはり宝くじそのものの魅力が減少しているという点にある。いくら高額の当選金があるとはいえ、当たる確率が極めて低い宝くじは極めてリスクの大きな投資といえる。宝くじを買って当選すれば良いが、ほとんどの場合は商品を購入した場合と異なり何も手元に残らない。実際に宝くじを買った人の多くが宝くじに対して思うことは、「当たらない」という感想ではないだろうか。年末ジャンボ宝くじの1等の当選確率は2000万分の1ともいわれており、これでは当選するほうが無理な相談というものだ。
宝くじの売上による収益金は、各自治体による様々な事業への支援に活用されている。売上が減少すればこうした事業支援にも影響することになるため、宝くじの売上向上につながるような対策が打ち出されている。たとえば平成27年度には年末ジャンボ宝くじの当選金が前後賞あわせて10億円に引き上げられ、翌28年には1等1000万円が1000本という当選確率を高めた「年末ジャンボプチ」が登場した。それでも大幅な改善には至っていないのが現状であることから、宝くじのありかたについてより抜本的な改革が必要な時期に来ているのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)