国民年金保険料より安いのに基礎年金と厚生年金

2012年02月16日 11:00

 厚生年金の加入条件を緩和することに伴い、保険料のベースとなる標準報酬月額を現行の9万8000円から引き下げる案が検討されていることについて、河野太郎議員(自民党)は15日開かれた衆議院予算委員会で「国民年金の保険料より安い保険料で厚生年金も基礎年金も両方受けられるというのは不公平になるのではないか」と指摘した。

 自営業者や非正規労働者、無職の人たちが加入する国民年金の保険料は月額1万5020円。老後に受け取れるのは基礎年金だけ。一方、厚生年金保険料の標準報酬月額を現行の9万8000円から例えば7万8000円に引き下げた場合には、労使合わせて保険料は1万3000円。労働者の本人負担は6500円ですむことになる。6500円の負担で基礎年金と厚生年金が受給できる。河野議員はこれが不公平だと指摘した。

 厚生労働省では国民年金は定額保険料による定額給付の制度で、厚生年金は標準報酬に基づく納付により、厚生年金加入者全体で再配分する仕組みになっているため、制度が違うとして「比較しても意味がない」とした。しかし、この不公平感はぬぐえない。パートなど非正規労働者であっても加入条件を満たすのであれば厚生年金に加入した方が有利なことは確か。

 小宮山洋子厚生労働大臣は「労働者の4割近くが非正規労働者になっている」状況から、標準報酬月額の引き下げを検討し、厚生年金への加入者を増やしたい意向を示している。(編集担当:福角忠夫)