「2018年問題」の対応に揺れる企業

2017年11月13日 07:24

画・「2018年問題」の対応に揺れる企業

2018年より本格化する無期労働契約社員への転換。労働期間の定めがなくなることへの企業の反発と安定を求める従業員側の要望とが今後さらに表面化すると予測される。

 労働契約法の改正に伴い、「2018年問題」が企業内部で重要な意味を持っている。労働契約法とは、その名の通り労働契約に関する規定を定めた法律であり、2012年に改正労働契約法が公布され、18年にその法律の規定が本格化することが「2018年問題」の端緒となる。この労働契約法の改正において最も企業が気にしている部分といえるのが、無期労働契約への転換だろう。18年4月より、非正規雇用の社員を無期雇用に切り替える制度が2018年より本格的にスタートするからだ。

 無期労働契約への転換とは、同一の使用者との間で有期労働契約が更新された場合、それが5年を超えると期間の定めのない労働契約へと転換できる、というものである。この規定は13年4月1日以降に開始する有期労働契約が対象となることから18年4月に本格化するというわけだ。もちろん無期労働契約に転換されたからといって、それが正社員となるとは限らない。正社員にならずに毎年労働契約を更新する契約社員という扱いになる場合もあるだろう。それでも企業側にとっては様々な対応策を考える必要がある。派遣社員やアルバイトなどといった非正規雇用の社員は、いつでも契約を打ち切ることができるというメリットがあり、その自由を手放したくない企業も決して少なくない。

 企業側の対策のひとつが有期労働期間が5年を超えないうちに契約を終了する「雇い止め」である。5年を経過する前に契約を終了することで無期労働契約への転換を回避することができる。人手不足になる可能性もあるが、それよりも自由に人員を調整することができる仕組みの方を優先したいという考え方だろう。また、この無期労働契約の対象となるのは企業と直接契約をしている社員のため、派遣会社から社員を派遣してもらい、この5年ルールを回避するという動きもある。

 このように、企業の人事部門では「2018年問題」をいかに乗り越えるか、という動きが見受けられる。実際に仕事をする従業員からすれば、同じような職責・仕事内容であればできれば正社員として雇用してもらいたい、そう考えるのが自然というものだろう。企業の中にはこうした要望を受けて正社員として登用するところもあるが、正社員になれるのは一握りで狭き門といえるかもしれない。自由にクビにできる権利を放棄したくない企業と、正社員として安定した収入を得たい従業員側とでせめぎ合いが続くことになる。「2018年問題」の本質とは、相互の認識の乖離にあるのかもしれない。(編集担当:久保田雄城)