日本ガイシは、米国子会社のFMインダストリーズが、米国最大の産業ガスメーカー、プラクスエアからアドバンストコンポーネンツ事業を買収することを2月1日付で決定したと発表。半導体製造装置用セラミックス事業をさらに拡大して事業基盤を強化し、エレクトロニクス事業のさらなる成長を目指すという。
買収先であるプラクスエアのアドバンストコンポーネンツ事業は、半導体製造装置用部品の製造と同部品の耐食性を高める表面処理(コーティング)を手掛けており、2011年の売上高は2800万ドルとなっている。一方、買収元のFMインダストリーズは、2002年に日本ガイシが買収した半導体製造装置用金属部品の製造子会社で、2010年にはLJエンジニアリングアンドマニュファクチャリングを買収しており、金属加工技術やモジュール製造技術、セラミック技術を組み合わせることで、半導体製造装置用セラミックス事業を拡大している。
昨年は同社が製造・販売するNAS電池(ナトリウム硫黄電池)に関し火災事故が発生し、約600億円もの特別損失を計上した日本ガイシ。しかし、電力関連事業・セラミックス事業の売上高はいずれも前年比を上回っていた。一方で、売上高が前年比3.2%減と唯一前年比を下回ったのがエレクトロニクス事業である。今回の買収により、得意のセラミックス事業を活かした展開でエレクトロニクス事業を成長へと導けるのか、今後の動向が注目される。
先のソフトバンク決算説明会において、孫正義氏が「製造業の減収・赤字が相次いでいるが、これは一時的な現象ではない」「現在は工業革命の末期であり、先進国がものづくりにおいて技術力で新興国を凌駕するのは難しくなっている」との見解を語っている。しかし、情報産業の発展を支えるのは、ハード面における技術力ではないだろうか。そして、日本企業は日進月歩でその技術力を高めている。日本ガイシをはじめとする日本の製造業各社には、孫氏の言葉に奮起し、他国に真似の出来ないさらなる高い技術で「ものづくり大国、日本」を再び世界に顕示してくれることを願うばかりである。