A級戦犯は戦犯でないが靖国参拝には要国際配慮

2012年02月01日 11:00

 野田佳彦総理は31日開かれた参議院予算委員会で山谷えり子議員(自民党)の質問に答え、A級戦犯について「小泉内閣時代に示されたA級戦犯に対する政府の立場を私は政府の立場であるので尊重したい」と答弁した。官直人前総理がA級戦犯は戦犯とした判断とは違う判断を示した。野田総理は財務大臣だった昨年8月にも「A級戦犯は戦争犯罪人ではない」との見解を示していた。

 ただ、一方で総理としての靖国神社参拝については「国際関係を含めて諸般の事情を考えた中で、やはり合理的な判断をせざるを得ないと思う」と韓国・中国に配慮し、慎重であるべきとの認識を滲ませた。

 小泉内閣時代に示されたA級戦犯に対する政府の立場とは野田現総理が民主党の国対委員長をしていた時に小泉内閣に対し「A級戦犯と言われる人たちの法的立場を確認する主旨で」(野田総理)質問主意書を出し、2005年10月に小泉内閣が答弁したもので、そこでは「国内法に基づいて言い渡された刑ではない。A級戦犯と呼ばれた人たちは戦争犯罪人ではないのであって、戦争犯罪人が合祀されていることを理由に総理の靖国参拝に反対する論理はすでに破綻していると解釈できる」との見解が示されていた。

 A級戦犯に対する認識について山谷議員は野田総理の判断は正しいと評価したが、「(野田総理が)靖国神社参拝は国際政治的な利害を踏まえて最終的な判断がなされるべきと言っているのはなぜか」と質したのに対し、「国際関係を含めて諸般の事情を考えた中で、やはり合理的な判断をせざるを得ないと思う」と答えたことには「追悼、慰霊は主権的な問題。今の総理の答えは全く総理としての資格がない」と痛烈に批判した。(編集担当:福角忠夫)