「読書離れ」で日本経済に影響? 読書啓発CSRで本の楽しさを再認識

2018年05月20日 12:14

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読書離れが加速する日本。山田養蜂場の「みつばち文庫」など、企業の読書啓発CSR活動にも注目が集まっている。

 日本人の「読書離れ」が社会問題になりつつある。株式会社クロス・マーケティングが15歳~69歳の男女を対象に実施した「読書に関するアンケート(2017年版)」によると、読書習慣があると答えた人は39.4%。2015年の前回調査と比較すると、わずか2年で10%以上も減少しており、その深刻さがうかがえる。

 このまま読書離れが加速すると、日本社会にどのような影響を及ぼすと考えられるだろうか。とくに気になるのが、これからの日本の将来を担う子供たちへの影響だ。

 読書の習慣は、知識の取得や語彙、言語能力の発達を促すだけでなく、集中力の育成や、想像力、感受性を豊かに育むことにもつながる。また、科学者の中には、読書によって論理的思考力やコミュニケーション能力が向上すると唱える人も多い。逆に考えれば、このまま読書離れが進み、日本人の論理的思考力やコミュニケーション能力などが衰退すれば、個人の教育問題だけにとどまらず、様々な分野において世界市場での競争力も失われてしまいかねない。日本経済に及ぼす影響も大きくなるだろう。

 そんな日本の未来を危惧してか、社会貢献活動の一環として、子供たちの読書活動を支援している企業も多い。
 
 例えば、はちみつやローヤルゼリーなどのミツバチ産品で知られる株式会社山田養蜂場では、1999年より全国の小学校に書籍を寄贈する「みつばち文庫」という取り組みを続けている。寄贈する小学校は、一般の方々から公募して、抽選にて決定。第20回となる今年は、子供たちの豊かな心の育成を目指し、「自然環境の大切さ」「人と人とのつながり」「命の大切さ」などをテーマとした書籍8冊のセットを全国2085校の小学校へ寄贈する。ちなみに20年間で同社が寄贈した書籍を全部積み上げると、標高約3776mの富士山3座分の高さにも及ぶというから驚きだ。

 石油関連の国内元売りトップ企業であるJXTGエネルギー株式会社は、九州、山口各県の小学生から高校生を対象に行われている「西日本読書感想画コンクール」(主催:西日本新聞社、九州・山口各県学校図書館協議会)への支援を約50年間にわたって続けており、最優秀・優秀賞受賞者に「ENEOS賞」を贈呈するなど、子供たちの読書習慣の向上に取り組んでいる。

 伊藤忠商事も、子供の読書習慣向上のためのCSR活動に早くから取り組んでいる企業の一つだ。同社では、読み聞かせ団体や子ども文庫連絡会等への子供の本購入費の助成や、病院や施設などに読書啓発活動を行っている団体などへの活動費の助成など、主に読書啓発に取り組んでいる団体などへのサポートを続けている。

 近頃は、スマートフォンやタブレットで楽しむ電子書籍も浸透してきた。しかしながら、やはり昔ながらの紙の書籍でする読書は格別だ。内容もさることながら、紙質や装丁、フォントなどからも、つくり手のこだわりや気持ちが伝わってくることも多い。子供だけでなく、大人もぜひ、読書の習慣を取り戻したいものだ。(編集担当:藤原伊織)