トヨタ自動車の自動運転ソフトウエアの先行開発を担うトヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(TRI-AD)と、新しい宇宙業界をリードし、グローバルに技術革新しているマクサー・テクノロジーズ社(MAXAR)、日本のITサービスを牽引するNTTデータは、高解像度の衛星画像を用いた自動運転車用の高精度地図の自動生成に向けた実証実験を3社共同で行なうと発表した。
MAXARは、最先端の宇宙技術を用いたソリューションを提供するグローバルリーダーであり、これまでDigital Globe、SSL、そしてRadiant Solutionsとして活動してきた関連各社がこの2月にMAXARのブランドとして統合した。
同社は全世界30カ国以上に拠点を置き、各種人工衛星、地球観測画像、ロボティクス、及び地理空間データの分析等、多様な分野において統合的な機能と専門技術を提供している組織だ。MAXARは、ニューヨーク証券取引所とトロント証券取引所に上場している。
今回の3社による取り組みは、Automated Mapping Platform(AMP)という、TRI-ADのオープンなソフトウエアプラットフォーム構想を前進させるための重要な施策であり、自動運転の可能性を広げる。
開発が急速に進む自動運転車では、複数のリアルタイムセンサーを用いることで、安全運転を確実なものとするが、センサーを用いた自動運転の基盤データとして高精度な道路地図は不可欠だ。現状、高精度地図がカバーしているのは、全世界の道路ネットワークの1%未満で、自動運転社会実現のためには、高精度地図のカバー範囲を広げる必要がある。3社で実施する実証実験では、精確な衛星画像で生成した高精度地図を元に、自動運転用ソフトウエアが複数のデータソースを参照したうえで指示を送り、自動車が安全に対処することを目指す。
取り組みでは、3社協力のもと、衛星画像を加工し、車両に使いやすい高精度地図を生成。まず、MAXARのクラウドベースの地理空間情報クラウド(GBDX)から光学衛星画像ライブラリーの画像を取得する。次に、NTTデータの人工知能(AI)を活用した独自アルゴリズムにより、必要な地図情報を自動抽出します。そして、TRI-ADが自動運転用に作成した高精度地図をクラウド環境からトヨタの自動運転試験車へ配信することで、自動運転の実現につなげていく考えだ。
今後3社は、まず、東京の特定エリアの高精度地図を自動生成することを重点的に取り組み、将来的にはあらゆる道路における自動運転を実現していく。(編集担当:吉田恒)