トヨタと清華大学、中国の招待を睨み、新時代モビリティ環境問題などを共同研究開始

2019年04月24日 06:11

Toyota_Mobility e-Palette

トヨタは昨年発表した多目的電動車「e-Palette」などを東京オリンピックなどで活用、そこで得た知見を活かし、北京オリンピック・パラリンピック冬季競技大会に向けて「清華大学・トヨタ連合研究院」でさらに熟成させる

 トヨタ自動車と中国・清華大学は、4 月21 日、「清華大学・トヨタ連合研究院」を設立することで合意したと発表。今後5 年間、共同研究を実施する。トヨタと清華大学は、中国の今後に必要とされるモビリティカンパニーとなるために、環境問題の解決や交通事故の低減につながる優れた新技術を搭載したクルマの開発と普及が重要であると考え、連合研究院を設立することしたという。

 トヨタと清華大学は、1998年から具体的な技術講座を開催するなど、共同研究を進めてきたが、今回の連合研究院では、中国の市場に合ったクルマの研究に限らず、水素の積極的な利活用など、中国のエネルギー問題や社会課題の解決に寄与する研究に共同で取り組む。

 また、トヨタは、先般発表したハイブリッド技術の特許を無償開放するなどを決定、社会の発展につながる取り組みに関してはオープンポリシーを基本としている。今回の清華大学との共同研究も、共同研究を通じて、中国社会に貢献したいとしている。

 連合研究院の設立について、トヨタの豊田章男社長は、「昨年5 月、李克強首相とお話させていただいたことがすべての始まりで、今回の連合研究院の設立に至った。中国の発展に関与する機会をいただき、嬉しく思っています」と語っているという。

 また、2018年11月、トヨタは、「中国国際輸入博覧会」において、多目的電気自動車「e-Palette/イーパレット」を始めとした「電動化、知能化、情報化」を活用し、人々の生活を支える「新たなモビリティ」を提案した。

 トヨタは昨年5月の2018年3月期決算説明会の席で「自動車をつくる会社からモビリティ・カンパニーにモデルチェンジする」と宣言し、モビリティサービスの領域に事業の軸を移すこととしているが、これを実現するコンセプトモデルが「e-Palette」だ。

 「e-Palette」は、移動や物流、物販など多目的に活用できるMaaS(Mobility as a Service/移動のサービス化)専用次世代EV(電気自動車)のコンセプトカー。2018年1月に米ラスベガスで開催された「CES 2018」で初公開された。

 その「e-Palette」は、Autonomous Vehicle(自動運転車)とMaaSを融合させた、トヨタによる自動運転車を利用したモビリティサービスを示す造語「Autono-MaaS」を具現化する存在として、電動化、コネクテッド化、自動運転化を狙って開発している。

 これらトヨタが指し示す新たなモビリティは、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会で活用を予定する。北京2022オリンピック・パラリンピック冬季競技大会では、東京2020で得た知見を活かし、国際オリンピック委員会、国際パラリンピック委員会、北京オリンピック・パラリンピック冬季競技大会組織委員会と連携し、大会の成功に向けて尽力していきたいとしている。(編集担当:吉田恒)