犬や猫などのペットが高齢化している。うれしいことである反面、高齢者が高齢のペットを世話するという、人間と動物間の老老介護も問題となる。生活習慣などによって肥満傾向にあるペットも多い。ペットと健康的に過ごすには、予防段階でのケアが必要である。
動物に対する医療が進化した結果、犬や猫などのペットにも高齢化が進んでいる。獣医による夜間・救急外来は全国的にあり、動物のための医療保険に加入することはもはや当たり前だ。2017年に動物関連企業が発表した、室内飼いされている犬猫の平均寿命は犬が14歳で猫が15歳となり、14年の調査よりも2年から3年伸びている。
動物が家族同然に扱われる中で、「生活に癒し・安らき゛か゛欲しかったから」という理由でペットを飼う世帯はペットオーナーの3割にも上る。「家族や夫婦のコミュニケーションに役立つと思ったから」という理由を挙げる人も多い。そのような中で、ペットオーナーにとっては、自分のペットが長生きしてくれることはうれしいだろう。反面、飼っているペットの高齢化によって、高齢者が高齢になった動物を老老介護するという問題も起きている。
70歳以上のシニア世代は「運動不足解消のため」に飼育を始めるケースが多い。実際、散歩の頻度や散歩にかける時間は全ての世代の中で最も多いという調査結果が出ている一方で、「最後まて゛世話する自信か゛ない」というのもペットの飼育を阻害する要因になっている。
ペットも高齢化すれば視力低下や病気で目が見えなくなったり、足腰が弱って行動が困難になったりする。寝たきりになることで定期的に体勢を変えてやる必要や、排泄のサポートが必要になるケースもある。認知症にもなる。寿命が伸びればどうしても必要になるケアは、動物を飼う以上覚悟しておかなければいけないだろう。
しかし、予防できる病気もある。肥満などの生活習慣病である。犬・猫ともに、食生活、運動習慣、ストレスが鍵になる。室内外で家族同然だからといって人間の食事を与えてしまうのは適切ではない。犬の場合は運動不足がストレスの原因になり、猫の場合は静かに過ごすことができなかったり落ち着けない環境であったりすることがストレスになる。また、犬や猫であっても年齢に応じてペットフードを変えていく必要がある。高齢になれば子犬・子猫の時と比べて必要な栄養素やカロリーが異なるからだ。
年齢が上がることによるペットの病気の中には防ぎにくいものもあるが、生活習慣や飼育環境によっては予防できるものもある。子猫・子犬のうちからとはいわなくても、ペットがある程度の年齢になったら獣医師との連携の上で健康維持や予防医療に取り組むことが必要である。(編集担当:久保田雄城)