新しい家族の一員として「ペット休暇」を取り入れている企業

2019年05月06日 14:51

画・ペット医療 安全性に疑問も再生医療の実用化が進む

海外には新しくペットを迎えたりペットが死んだ時に休暇を取得できる制度を設けている企業がある。ペットを飼うことは「大きな決断」である、「ライフ・ワーク・バランス」の必要性、「長く勤めてもらうための福利厚生」としてなど、企業によって理由は様々である。

 新しくペットを飼う際に休暇を取得できる制度を設ける企業が海外には増えている。犬や猫などの動物をペットとして迎えるのは容易なことではなく、それ自体が「大きな決断」を伴うものであり、ペットの存在が家族と同様に扱われる必要があるということだ。また、企業側としてはライフ・ワーク・バランスの充実を図ることで仕事の効率を上げてもらいたいという狙いもある。

 海外の例としては、ペットを家に迎え入れた際に有給休暇を数時間分取得できる、猫や犬を同伴しての出勤が可能、災害救助犬などとして活躍した動物を引き取ることで有給休暇が2週間付与されるなどの企業がある。ペット休暇やペットに関する福利厚生があるのはペット関連事業を行なっている企業が主であるが、今後は優良企業かどうかを判断するための判断材料となることも考えられる。実際、ペットを家族同然に考えている場合には魅力的な条件であることは間違いない。

 ライフ・ワーク・バランスの問題としては、海外だけの話ではなく日本においても重要課題だ。日本では企業の福利厚生として保養所を設けていたりスポーツクラブの法人会員になることができるなどの場合が多いものの、制度を活用できるだけの十分な休暇を取得できる企業は全体のなかの一部だろう。今年度から有給休暇の取得が義務化され、事業所が取得させない場合の罰則も制定された。それでもペットのために休暇を取得することもできる欧米各国などの休暇事情と比べれば、まだ改善の余地はある。

 ペットが死んだ際には忌引きとしての休暇を認める企業もあるが、迎える際の休暇も忌引きとしての休暇も、どちらも「長く勤めてもらうための福利厚生」としての位置付けである。まだ少ないが、日本でもペットの通院休暇や忌引きを取得したり猫や犬を事業所内に連れてくることのできる企業はある。

 ペットの高齢化や、高齢化に伴うペット介護の必要性、また殺処分される猫や犬の救済の面でも、ペット休暇やペットに関する福利厚生は今後需要が高まることが考えられる。働きやすい企業の条件としてこういった制度を求めることは、労働者が個人の生活と仕事とをどちらも充実したものとするために必然性のあるものとなるだろう。(編集担当:久保田雄城)