ポルシェ718シリーズに待望の4リッター水平対向6気筒搭載、300km/h突破

2019年06月23日 09:22

Porsche_718

水平対向4気筒ターボから再びNAの水平対向6気筒エンジンに換装となった新「718スパイダー」、最高出力309kW(420ps)を得て最高速300km/h超

 独ポルシェAGは、2座ミッドシップスポーツの「718」の上級2モデルを発表した。オープンスポーツの「718スパイダー」とクーペボディの「718ケイマンGT4」だ。両モデルには309kW(420ps)を発生する新開発の4リッター水平対向6気筒自然吸気エンジンと6速マニュアルトランスミッションを搭載する。

 オープンスポーツの「ボクスター」とクーペ「ケイマン」は、基本的なシャシーやパワートレーンは共通で、新型のトピックは搭載エンジンの変更だ。デビュー当時、ボクスターやケイマンは、「911」と同じ6気筒エンジンを搭載していた。が、先代はダウンサイジングした水平対向4気筒ターボエンジンを採用。アウトプットは過去最高となったものの、ポルシェ「フラット6」ファンから失望の声が挙がったのは事実だった。

 今回、登場した2台に搭載したパワーユニットは、その失望に対するポルシェの回答で、待望のボクサー6を搭載。しかも搭載した6気筒は最新の911(992型)にも搭載されていない4リッターの自然吸気エンジンで、最高出力309kW(420ps)/7600rpm、最大トルク420Nm/5000-6800rpmを発生。ケイマンGT4では先代比35ps、3世代目のスパイダー比で45ps上回るパワーを得た。最高速度は300km/hの壁を突破し、718スパイダーで301km/h、78ケイマンGT4では304km/hに達する。停止状態から100km/hに達するまでの所要時間は両モデルとも4.4秒だ。

 しかも、このエンジンに組み合わされるのは、硬派ともいえる3ペダル6速マニュアルトランスミッションのみ。ポルシェ開発陣のストイックな姿勢をとことん詰め込んだモデルといえそうだ。

 加えて、車高を30mm低くする電子制御サスペンション「PASM」(ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネジメント)や、挙動安定化システム「PSM」(ポルシェ・スタビリティ・マネジメント)、機械式リヤデフによる「PTV」(ポルシェ・トルク・ベクタリング)などの電子制御システムが走りをサポートする。

 718ケイマンGT4は優れた空力特性を備える。ダウンフォースは先代よりも50%増えた。エアロダイナミクスの向上には、新しくデザインされたリヤサイレンサーのカバーが大きく寄与する。2本のサイレンサーがアーチ状に独立したカバーを持ち、リヤディフューザーの設置スペースが生まれ、その結果718ケイマンGT4のリヤアクスルへのダウンフォースは約30%増加した。固定式リヤウイングの効率向上で先代モデルより20%多いダウンフォースが発生。フロント部では、大型フロントスポイラーと前輪に沿って流れる空気を整える通称「エアカーテン」が空力バランスを保つ。

 軽量なソフトトップを備えたオープン2座スポーツの718スパイダーは、純粋なドライビングプレジャーを提供するスポーツカーで、ポルシェ・ロードスターの系譜を引き継ぐモデルだ。屋根を開けた状態でも閉めた状態でもその魅力的なシルエットをみせる。718ケイマンGT4との違いは、120km/hで自動的にせり出すリヤスポイラーだ。この効果的なディフューザーは、強力なダウンフォースをリヤアクスル付近で発生させる。

 「718スパイダー」と「718ケイマンGT4」の日本における展開などについて、今回のリリースでは触れられていない。追って発表されるリポートを待つことにしよう。(編集担当:吉田恒)