6月現在の有効求人倍率は1.61倍で高い水準を維持しており人手不足が払拭される兆しは見られない。少子高齢化の中で生産年齢人口が減少して行くことは必然であり、日本が労働力不足の状況に至ることは従前から想定されていたことだ。政府は働き方改革などの施策を講じてより多くの者が労働力として社会参加できる社会の実現を試みる一方で外国人労働者の活用によって労働力不足を補う方針も明確にしている。
政府はすでに建設、介護、農業等の人手不足が深刻な分野での外国人労働者受け入れの概数について試算を行い、これを公表している。今年4月には改正入管法(出入国管理及び難民認定法)が施行され外国人労働者の滞在条件が規制緩和された。
これに関連し、人材サービス業のエン・ジャパンが6月、7月に自社のサービスを利用している企業2263社をサンプルとして「外国人採用に関するアンケート」を実施し、その集計結果を7日に公表している。
4月からの改正入管法の認知度については、「知っていた」と回答した企業は57%、「知らなかった」43%で改正入管法の認知度は6割程度のようだ。外国人の採用について現状を聞いた結果では、「採用を行なっている」が29%、「採用は行なっていないが、検討している」が33%、「採用しておらず、検討もしていない」38%となっており、「検討している」まで含めると62%の企業で外国人の採用に前向きなようだ。
職種についてみると、「販売・接客等のサービス職」が26%で、2位の「IT・Web・ゲーム・通信等の技術職」の15%より10ポイント以上多く断トツでトップとなっている。人材サービスを利用する企業では接客・サービス系で外国人採用に積極的なようだ。自由記述欄を見ると「数カ国語話せる」能力を重視している意見も見られる。
また、「外国人を採用しない」理由について複数回答で尋ねた結果では、「外国人向けの教育・研修が未整備」が56%で最も多く、次いで「日本語能力への懸念」が53%となっており、この2つの理由が50%を超えている。また「行政手続きの煩雑さへの懸念」も32%と3番目に多くなっており、入管法が規制緩和されても手続きの煩雑さを負担と感じている企業も少なくないようだ。
自由コメントにもあるように「特に外国人だからというこだわりはないが、採用のノウハウがない」というのが多くの企業の現状ではないか。(編集担当:久保田雄城)