かんぽ巡る続報中止、連絡経緯を文書で提示約束

2019年10月01日 14:17

 日本郵政の長門正貢取締役兼代表執行役社長は9月30日の記者会見で、かんぽ生命保険販売を巡る問題を取り上げた昨年4月24日のNHK番組を受け、NHKの上田良一会長、経営委員会へ抗議し、その後、番組「続編」を中止する連絡が、いつ・誰から・誰にあったのか、経緯を文書で示すと記者団に約束した。

 放送法32条は経営委員会委員が個別の放送番組の編集に関与できないことを明記しており、今回の案件が経営委員会委員による個別番組への介入になる可能性があり、この点から検証することが求められている。

 長門社長はNHKが昨年4月24日のクローズアップ現代で報道した内容について「今は謙虚に番組で訴えようとされていることをしっかり心にとめ、郵政グループ全体できちんと対応していかなければいけないと思っている」と述べ、報道された内容について抗議する前になぜ実態調査してからにしなかったのか、との記者団の問いには「深く反省している」と述べた。

 長門社長は「当時は放送にびっくりし、随分、我々が非難されている、アンフェアではないかということを当時感じた。そのあと、第2陣(続報)が放送されるというニュースが入り、NHKがwebに情報提供を求めるキャンペーンを張ったのを拝見し『押し売り・詐欺・元本割れ・高い目標』などが書かれていて、報道の方向が偏っていないかと感じた」と抗議したいきさつを説明。

長門社長は「これはいったい何なのか。フェアな報道を、との趣旨でNHKの上田会長に郵政グループ3社の社長連名で手紙を出した。しかし、われわれの主張が通らなかった。それでNHKの経営委員会の方にもクレームを申し上げた。そうすると内部の議論はわからないが、経営委員会の方でいろいろ動いていただいて、番組制作に変更があるかもしれない、とりあえず2回目の番組放送はしないという話が経営委員会から報告があり、その後、上田会長から手紙で続報を取りやめるとの報告があった」と語った。

しかし、その直後「報道(続報)を取りやめるという報告は上田さんや経営委員会からあったということではなく、現場の方々から『うち(NHK)は(続報を)やめる』と報告があったように思う。記憶が定かでないので、後ではっきりさせる。上田会長や経営委員会からの手紙に『(続報を)やめる』とかの文章になっていないので、違うプロセスをとったと思う。確認して連絡する」と答えた。

NHK広報によると、続報は今年7月31日のクローズアップ現代で報道したとしている。

立憲民主党の枝野幸男代表は「個別番組に対する介入以外の何物でもない」とし、関係した人物は辞任するべきとの認識を9月30日示した。(編集担当:森高龍二)