一般社団法人 住宅生産団体連合会が発表した「令和元年度 第2回 住宅業況調査報告」によると、令和元年4月から6月にかけての戸建注文住宅の受注実績指数は、同年1月から3月の前四半期見通しに対し、全国平均では受注棟数マイナス33ポイント、受注金額マイナス14ポイントと減少した。しかし、 平成25年度第2、3四半期の消費税率8%導入前後に発生した駆け込み需要及びその反動減に比べると受注変動は小さく、消費増税の影響は少ないと見られ、実際、7月から9月の受注見通し指数では、九州エリア以外では全国的にプラスの見通しに転じている。
とはいえ、近年は、家庭によって暮らし方や働き方も多様化しており、持ち家至上主義ではなくなってきており、タワーマンションなどを求める人も増えている。では、「夢の一戸建て」はもう過去の話なのだろうか。
一昔前まで、マンションは戸建てより価格が安いイメージがあった。しかし、近ごろは都心部を中心にマンション価格の上昇が見られ、マンションの方が高くなるケースも珍しくない。また、マンションの場合は住宅ローンや固定資産税などに加えて、管理費や修繕積立金、駐車場代などが毎月かかる。もちろん、戸建ての場合も突発的な修繕などで予想外の出費を強いられる可能性もあるが、当初の月々の平均的な出費という点では、マンションの方がかさんでくる。それにもかかわらず、マンションが人気なのはなぜか。
一つは投資目的で購入する客が増えていること。そしてもう一つは、同様の資金計画で一戸建て住宅を建てようと考えれば、どうしても土地が狭くなってしまうことが挙げられるだろう。都心部ならなおさらだ。狭い土地に光も射さないような小さな住宅を建てるよりも、眺めが良くて開放感のタワーマンションを求めてしまうのは、当然ともいえるだろう。しかも、タワーマンションなら、窓から隣家に見られることもなく、プライベートも守られている。
ところが、戸建を取り扱う住宅メーカーが昨今、都心の狭小地でも充分なライフスペースが確保できる都市型住宅の開発・販売に力を入れ始めていることで、この事情も大きく変わってきそうだ。
例えば、パナソニック ホームズは多層階住宅の開発に積極的に取り組んでおり、同社の看板商品である「ビューノ」は、工業化住宅で初めて、9階建を達成。敷地を有効活用できるように業界最小15センチの設計モジュールで、建ぺい率も容積率もいっぱいに活かした家づくりを行っている。
また、ミサワホーム〈1722〉は、低層階を店舗や賃貸、3階から5階をオーナー住居、さらには屋上までをパッケージにした都市型中層住宅「URBANCENTURY」を展開。二世帯、三世帯住宅としても人気を集めている。
そして業界最大手の積水ハウス〈1928〉も、まさにタワーマンション志向の顧客層をもターゲットに見据えた、鉄骨3・4階建ての都市型戸建住宅「REGNUM COURT(レグヌム コート)」を令和元年11月1日 から全国で販売を開始した。同商品は、都心部に住まう新しい選択肢として、積水ハウスが満を持して発売したものだ。厳格な資格制度のもと選び抜かれた積水ハウスのトップクリエイター集団「チーフアーキテクト」に代表される設計士たちよる「壁」を巧みにデザインする設計力と、通し柱不要で各階の設計自由度が高い先進の技術「フレキシブルβシステム」の採用によって、都会暮らしの課題である「プライバシー」の確保と「光・風・緑」の享受とを両立している。
「REGNUM」は、ラテン語で「王国」を意味する言葉。都会の中でもプライバシーが保たれ、 光と風、緑に包まれた家は、まさに家族の「王国」となるだろう。
「REGNUM COURT」のモデルルームは、ハウジングステージ新宿展示場、品川シーサイド住宅展示場ですでに公開されており、来場者の関心を集めているようだ。
こういった中高層階の都市型戸建住宅市場が活発になってくれば、都会の暮らしも変わってくるかもしれない。郊外に住まなくても、都心部の限られた土地の中でも、プライバシーを保ちながら、明るくのびのびと、そして家族の嗜好にも合わせた豊かな一戸建ての暮らしは、もう夢の世界の話ではないのだ。(編集担当:藤原伊織)