注目される住宅リノベーション市場。でも、安全性は大丈夫?

2019年09月01日 11:58

リノベーション

積水ハウス「ファミリースイート リノベーション」のリビング空間。黒い鉄骨部分は「RFサポートビームシステム」の構造体イメージ

 住宅業界で今、注目されているのがリフォーム市場だ。矢野経済研究所の調査によると、2018年度の住宅リフォーム市場規模は6兆2,865億円(速報値)で、前年度比で1.6%増となっている。2019年第1四半期でみると、1兆2,716億円(速報値)、前年同期比5.8%増と推計している。

 順調なリフォーム市場の中でも、とくに需要を伸ばしているのがリノベーションだ。

 リフォームは、クロスの張替えや床の張り直し等、比較的簡単な修繕も含まれるが、リノベーションは間取りの変更など、大がかりな改修工事をさす。

 リノベーションの最大のメリットは、老朽化した住宅が新築さながらに生まれ変わることだろう。間取りも大幅に変更できるので、住み慣れた住宅の雰囲気を残しつつ、ライフスタイルに合わせた暮らしを叶えることができる。また、既存住宅を販売する場合もリノベーションを行うことで魅力が増し、資産価値も向上する。しかも新築を建てるよりも費用が安く済むのも嬉しい。

 リノベーションのコストを調べてみると、内容や規模にもよるものの、マンションのスケルトンリノベーションの場合、大体1㎡あたり10~15万円が平均的な相場のようだ。例えば一般的な60?80㎡のファミリー向けマンションだと費用はおよそ1000万円前後というところだろう。賢く中古物件を購入すれば、新築同様にリノベーションを施してもかなり割安になるのではないだろうか。一戸建ての場合はさらに、町家や古民家などの趣のある外観を活かしつつ、望み通りの間取りを実現し、最新の住宅設備で住まうことができたりするのも、リノベーションならではの魅力といえるだろう。

 しかし、そんなリノベーションにも不安点はある。

 その一つが安全性や耐久性の問題だ。リノベーションの需要は築20年以上の物件が多いと言われており、使われている部材も老朽化していることが考えられる。間取りを変更したりすると、構造上の耐久力も心配になってくる。

 そんな中、住宅メーカー大手の積水ハウス〈1928〉が自社の既存戸建住宅を対象にした新しいリノベーションプランを発表した。対象物件が構造を知り尽くしている自社物件であるため、リノベーションで気になる構造の安全性や耐久性の問題も万全だ。

 同社がリフォーム専門子会社の積水ハウスリフォーム3社を通じて9月1日から販売するこの「ファミリースイート リノベーション」は、同社が昨年10月に新築戸建住宅向けに発売した「ファミリー スイート」のリノベーション版といえるものだ。仕切りの無い大空間リビングで家族が心地良い距離感でつながる暮らしを提案した「ファミリー スイート」は人気を集め、6月と7月の直近2ヶ月に新築された同社戸建住宅の約5割で採用されているという。

 また同社既存住宅の多くを占める軽量鉄骨住宅においては、新開発の「RFサポートビームシステム」を採用可能。梁下に新たに梁を設けて支持し、既存の構造柱や壁を撤去しても構造の安全性を確保することで、最新の新築物件のような、これまでになかった開放感あふれるリビング空間を実現する。

 住宅を購入するにしても自宅を改修するにしても、リノベーションはメリットの大きい選択肢の一つだ。マイホームを今のライフスタイルに合わせて蘇らせることで、我が家にもより愛着がわく。リノベーションの際には断熱改修が同時に行われることも多く、快適で環境にやさしい暮らしができる。リノベーションは、これからの住宅市場の大きな流れになっていくのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)