3月5日、積水ハウスが2020 年1月期の本決算を発表した。前期の2019年1月期の売上高横ばい、減益から持ち直し、ほぼ2ケタの増収増益、過去最高更新で着地した。
■戸建住宅、リフォーム、マンションが好調
2020 年1月期の売上高は前期比11.8%増の2兆4151億円で、営業利益は8.5%増の2052億円で初の2000億円突破。経常利益は9.6%増の2139億円、当期純利益は9.9%増の1412億円で、売上、利益各項目とも期初の計画を上回っている。
セグメント別の売上高は、「請負型」では金融機関の融資姿勢厳格化が続く賃貸住宅事業の1.3%減を「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」等の高付加価値住宅や「ファミリー スイート」の販売が好調だった戸建住宅事業の9.2%増が補った。「ストック型」では環境型、提案型に力点を置くリフォーム事業が8.0%増と好調。「開発型」では大阪、名古屋の都心型物件の販売が好調なマンション事業は16.1%増だったが、都市再開発事業は売却物件減少で23.9%減だった。国際事業はアメリカの賃貸住宅開発、中国のマンション販売が好調で58.5%の増収だった。
営業利益は8.7%増の戸建住宅、11.5%増のリフォーム、56.4%増のマンション、172.6%増の国際の各事業が全体の利益を押し上げた。受注高は「請負型」の戸建住宅は消費増税、自然災害の影響を受けてマイナスだったものの、全体では13.9%増。受注残高は全体で41.4%増だった。
■第5次中期経営計画初年度は増収減益見通し
2021年1月期の業績見通しは、売上高は2019年10月に子会社化した中堅ゼネコンの鴻池組を傘下に持つ鳳ホールディングスの業績が、請負型に新しく加えた建築・土木事業に3250億円加わり7.0%増の2兆5850億円。リフォーム事業や不動産フィー事業の収益が寄与して営業利益は0.4%増の2060億円、経常利益4.2%減の2050億円、当期純利益3.0%減の1370億円と増収・最終減益を見込んでいる。最終減益は鳳ホールディングスの連結子会社化に伴って2020年1月期に計上した85億円の特別利益がなくなる反動減が大きい。EPSは3.27円減の202.52円、配当予想は中間配当5円増配、期末配当は据え置きの86円で、9期連続年間増配を見込む。
その2020年度は、第5次中期経営計画(2020~2022年度)初年度にあたる。グローバルビジョン「わが家を世界一幸せな場所にする」のもと、第5次中期経営計画の基本方針を「コアビジネスのさらなる深化と新規事業への挑戦」と位置づけている。
戦略として重視するのは戸建住宅事業では「プラットフォームハウス構想」で、「健康」「つながり」「学び」を住宅にインストールして新しい付加価値を提案する。賃貸住宅事業では3~4階建て向けの「オリジナルβ構法」を武器に、ホテルや医療介護施設、保育園などの非住宅分野を積極的に開拓する。
リフォーム事業では環境型・提案型リフォームをさらに積極展開し、不動産フィー事業では「積水ハウス不動産」各社への社名変更、ブランドの統一を進めて、賃貸・仲介事業の強化を図る。
分譲住宅事業では新たな価格帯市場を開拓する戸建住宅のセカンドブランド「積水ハウス ノイエ」の販売強化に向けた仕入れを推進し、マンション事業では住宅で培った環境戦略を適用したZEHマンションを積極展開する。都市再開発事業では都市部で高級ホテル、オフィス、賃貸マンションを建設して積水ハウス・リート投資法人に対して優れた物件を供給する。
国際事業では、アメリカ西海岸を中心に高品質な賃貸住宅の開発及び出口戦略を行うマルチファミリー事業や、アメリカ、オーストラリア、英国で独自のテクノロジーをインストールした戸建住宅の展開に重点を置く。
積水ハウスは第5次中期経営計画最終年度の2023年1月期、過去最高の売上、利益達成となる売上高2兆7000億円、営業利益2200億円、当期純利益1470億円、営業利益率8.1%、EPS217.31円、ROE10%以上を達成するという経営目標を掲げている。(編集担当:寺尾淳)