米中貿易摩擦の影響で2018年より中国経済、世界経済は減速基調だ。これを受けて日本経済も輸出関連を中心に生産は弱含みであるものの政府は内需主導型の「緩やかな景気回復が続いている」としている。
14日に内閣府が「地域の経済2019-人口減少時代の成長に向けた土台づくり-」を公表している。報告書によれば、「今回の景気回復局面では企業の景況感が総じて良好な水準で推移し、 雇用環境が良好であるなど地域ごとのばらつきが小さいことが特徴である」としているものの「2019 年に入り、世界経済の成長鈍化の影響を受け、生産には弱い動きがみられる」と景気減速感を一部で認めている。
景況感を地域別にみると、リーマンショック後の09年を底に各地域とも改善傾向で推移してきたが、直近の谷である12年11月以降の回復期は地域ごとのばらつきが小さいことが特徴であるとしている。その背景として今回の回復は輸出に依存する割合が低く内需主導型の景気回復であり地域ごとの輸出依存度の違いによる影響があまりみられないことにあるとしている。
とは言うものの、製造業のみでみると2019年には、東北、北陸、近畿、九州・沖縄など地域別業況判断DIの「良い」が「悪い」を下回る地域が9地域中5地域みられ、特に19年半ば以降の輸出の弱含みに影響され各地域の景況感に差が出ているようだ。
鉱工業生産指数の推移をみると、19年においては九州で比較的高水準の推移が見られるものの、その他の地域において年後半に大きな落ち込みが見られる。19年の鉱工業生産における業種別の寄与度をみると全地域的に、汎用、生産用、業務用機械などの輸出型産業の減少が大きく寄与しており、品目の内容から米中貿易摩擦等を背景とした中国経済の鈍化や世界経済の減速の影響によって輸出・生産が弱含みで推移していることを裏付けるものとなっている。
インバウンドについては、19年の訪日外国人旅行者数の前年比増加率は鈍化したものの過去高を記録した。夏場以降に日韓関係の悪化で韓国からの訪日客が大幅に減少したものの中国人等は好調に推移した。韓国人旅行者の1人当たり消費額は比較的少額であるため経済的な影響は限定的であり、代わってラグビーワールドカップ関連の引き込みがこの減少を補ったかたちだ。
今後、新コロナウイルス関連で中国、内国双方で生産の落ち込みの長期化が予想されるとともに中国人訪日客の減少も予想され不透明感が高まっている状況だ。(編集担当:久保田雄城)