新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言が5月31日までに延長され、多くの地域で引き続き企業活動の休業、自粛が要請されることになった。
コロナ関連倒産は2月に既に発生しているが3月ごろよりその数も増え始め、緊急事態宣言が発令された4月には急増している。自粛の長期化に伴い5月一杯は持たないという企業の声も大きくなっている。当初、宿泊業や旅客、飲食業、娯楽施設などの観光業関連での業績悪化が目だったが長期化に伴い製造その他の幅広い業種に影響が広がってきている。
帝国データバンクが4月16日から30日にかけて全国2万3672社を対象に新型コロナウイルス感染症に対する企業の見解について調査を実施し、1日にその集計結果を公表している。なお、有効回答企業数は1万1961社である。
レポートによると、新型コロナウイルス感染症による自社業績への影響を「マイナスの影響がある」と見込んでいる企業は88.8%で、これは同社が3月に実施した前回調査の80.3%と比べ8.5ポイント増加しており、幅広い企業に悪影響が広がっている模様だ。
「マイナスの影響がある」の内訳をみると、「既にマイナスの影響がある」が56.9%、「今後マイナスの影響がある」が31.8%と6割の企業で既に業績の悪化が起こっており3割が今後業績悪化の見通しだ。逆に「既にプラスの影響がある」と「今後プラスの影響がある」の合計は2.7%のみで、「影響はない」4.0%、「わからない」4.6%となっている。
「マイナスの影響がある」と答えた企業の割合を地域別に比較すると、大阪、兵庫、京都を含む「近畿」が91.1%と最も高くなっており、次いで愛知のある「東海」が90.4%とこの2つの地域が90%を超えている。以下、東京圏の「南関東」88.9%、「東北」が88.5%、「北陸」88.1%、「北関東」87.8%、「中国」86.9%、「北海道」86.5%、沖縄を含む「九州」が86.2%、「四国」85.2%の順となっている。
最低の「四国」でも8割を超えている深刻な状況だ。全国平均を超えているより深刻な地域はやはり大阪、愛知、東京のある「近畿」、「東海」、「南関東」だ。「近畿」はインバウンドを中心とした観光業が大きな悪影響を受けていると想像できる。政府による十分な補償、支援策が必須のようだ。(編集担当:久保田雄城)