緊急事態宣言が5月25日に解除された。東京商工リサーチが逐次公表しているレポートによれば新型コロナ関連倒産は18日現在で既に156件にも及び5月だけでも47件にも上っている。
当初、倒産は中小零細を中心に起こっていたが15日には1部上場企業であるレナウンが民事再生開始決定を受けるまでに至っている。経営破たんした企業の多くは人手不足や消費増税などで資金繰りが窮し経営が疲弊していたところに外出・営業自粛で収益が急激に悪化、資金繰りに行き詰まるケースが目立つ。
与信管理サービスのリスクモンスターが5月上旬の「新型コロナウイルスによる影響」(160サンプル)を調査、その集計結果を14日に公表している。
集計結果によると、「4月の自社の業績は前年同月と比較してどのように変化したか」と聞いた結果では、「悪くなった」が53.1%で最多となり、「変わらない」36.9%、「良くなった」10.0%となっており、過半数の企業において前年同月に比べて業績が悪化している。
業種別にみると、全ての業種で4割以上が「悪くなった」と回答しており、悪化が大きいのは職業紹介・労働者派遣業や不動産業、道路貨物運送業を含む「その他」の57.9%、次いで「小売り・卸売業」55.9%、「製造業」52.7%の順となっている。
緊急事態宣言延長の業績への影響について聞いた結果では「悪くなると思う」68.1%と7割が悪化すると見込んでおり、「変わらない」28.8%、「良くなると思う」は3.1%たらずだ。
新型コロナの影響で取引先や取引に生じた事象について聞いたところ、全体の6.3%において「取引先の倒産」、「取引先の自主廃業」が5.6%、「取引先からの支払遅延」17.5%、「取引先に対する回収条件の変更」16.3%、「取引先の休業等による取引の停止」20.0%となっており、コロナウイルスの影響によって企業の与信取引に大きな影響が現れており連鎖倒産も懸念される状況だ。レポートでは4社に1社は与信上のリスクが高まっている状態であるとしている。
レポートでは「全体の4割近い回答企業において、取引先や自社の取引に新型コロナウイルスによる影響が生じており、今後、影響の長期化によって、そのリスクは拡大していくことが懸念される」と指摘している。(編集担当:久保田雄城)