死刑確定の3人に21日、刑が執行されたことに対し、社会民主党が「強く抗議する」と談話を発表した。死刑制度に国民的議論を尽くすべきと提起し、結論が出るまで執行を停止すべきだとしている。
社民党は「死刑制度は人権に反するもの」と位置付けており「死刑の存置に強い疑問を呈してきた立場から抗議する」と発表。「現安倍政権下での死刑執行は初めてだが、政権発足から2ヵ月に満たない中での大量執行は法務省内に死刑制度に関する勉強会を設置するなど、政権交代前に続けられてきた慎重な議論を無視し、死刑制度を維持・正当化しようとする安倍政権の偏った姿勢の表われ」と批判している。
また「谷垣禎一法相は会見で、極めて重大な刑なので、諸般の事情を十分勘案して決めたと述べたが、そうした姿勢は全く窺えない」と法相に対しても批判した。
社民党は「1989年の国連総会で死刑廃止を目指す、自由権第二選択議定書(死刑廃止条約)が採択されたが、日本はこの条約を未だに批准していない。さらに昨年12月には国連総会で死刑の執行停止を求める決議が採択された。死刑の廃止が国際社会の共通の意思となりつつあるなかで、日本政府は度重なる指摘に背を向け、一貫して死刑制度の廃止に向かう世界の流れを無視しつづけている」と反発している。
また政府や法務大臣に「国際人権基準に沿った法改正への道筋をつけること」を求めている。あわせて「死刑制度存廃や死刑に代わる措置など刑罰の在り方についてより開かれた国民的な議論を尽くすべき」とし「その間、死刑の執行を停止すべきだ」と提起した。
死刑制度に対しては刑罰が犯罪者に対する社会復帰への教育刑との考えと、目には目をと報応刑としての考えがあり、報応刑では残された犯罪被害者の遺族の思いや犯罪抑止力効果を期待する考えもある。このため、刑の位置づけの違いにより死刑制度への姿勢は全くかわる。教育刑とする考えでは犯罪者を死亡させては刑の意味をなさなくなる。また冤罪であることが分かった際に取り返しがつかないとの意見も死刑制度廃止論につながっている。(編集担当:森高龍二)