冬が近づいて、空気が澄んでくると、イルミネーションが街を美しく彩り始める。
例年ならば、この時期になると、イルミネーションイベントの開催情報で賑やかになるものだが、今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、通常通りとはいかないようだ。例えば、阪神・淡路大震災犠牲者の鎮魂と都市の復興・再生を願って1995年12月から開催されている兵庫県神戸市の「神戸ルミナリエ」など、恒例イベント も次々と中止を発表しており、やや寂しいムードが漂っている。
しかし、全く開催されないわけでもない。規模を縮小したり、入場者を制限して感染予防に努めたりと、いつもとは形を変えて、各団体や民間企業などの工夫と努力で開催するものも多い。そんな関西で今年開催予定のイルミネーションイベントをいくつか紹介しよう。
まず、家族で一度は訪れてみたいイルミネーションイベントの一つが、滋賀県米原市のローザンベリー多和田内で開催されている、約6万平方メートルの敷地に100万球の電球を配した関西圏最大規模の体験没入型イルミネーション「ひかり奏でる丘」だ。園内を走る光の汽車、ローザン鉄道ミルキーウェイに乗って光の国の中を旅すれば、大人も子どもも笑顔になれることうけあいだ。また、イルミネーションだけでなく、イギリスの人気クレイアニメ「ひつじのショーン」をテーマにした世界初のエリアやグラスハープの演奏体験など、ここでしか体験できない魅力も満載だ。
また、大阪では恒例となった、住民参加でつくるイルミネーションイベント、スマイルアートプロジェクト「ひかりの実」が今年も行われる。これは、中之島ウエスト一帯で開催される街歩きイベント「中之島ウエスト 冬ものがたり2020」のメインプログラムとして開催されるものだ。参加者は果実袋に
大切な人をイメージした笑顔を描く。その袋にLEDを入れて、街の木々や植栽、幼稚園や保育園、小学校などに飾り付けて「ひかりの実」として点灯する。6回目を迎える今年は、なんと総数1万人もの参加者の「ひかりの実」が温かい光を灯すという。周辺地域は多くの人出が予想されるが、主催者や関連施設や周辺市域が一体となって、 三密回避や咳エチケット、小声での会話などを呼びかけて感染症対策を行う。
残念ながら開催は中止したものの、今年ならではの方法で私たちを楽しませてくれるイルミネーションイベントも紹介しておこう。
1995年から20年以上にわたって京都の冬を美しく、温かく照らしてきた「ロームイルミネーション」は、ローム株式会社が約86万球の電球で京都本社周辺一帯を彩る、京都市内最大規模のイルミネーションだ。メインスポットのメタセコイア並木「光のプロムナード」は圧巻の美しさであるほか、2016 年からは毎年200 名以上の学生が参加する関西最大級の「大学生アカペラコンサート」も開催するなど、京都はもちろん、関西の冬の風物詩となっていた。今年は感染拡大防止を考慮して自粛を決定したものの、そこは日本を代表する電子部品メーカー、単なる中止ではない。なんとスマホやタブレットがあれば、アプリ不要で自宅にいながらイルミネーションの雰囲気を楽しめるARコンテンツ、その名も「心と心をツナグAR TUNAG‐AR‐U(ツナガル)」を11月19日から特設サイトにて公開している。さらに大学生アカペラコンサートの方もオンラインによる代替イベント「ROHM × FM802 presents大学生アカペラコンテスト2020」として実施。一次審査を通過した応募作品が12月1日からWEB サイトに公開され、私たち一般視聴者もWEB 投票できるという。リラックスしたいときやクリスマスムードを盛り上げたいとき、アカペラの素敵な歌声を楽しんでも良いかもしれない。その後、FM802 のDJや音楽プロデューサーなど有識者による最終審査を実施し、優勝チームには、特典としてFM802 の人気番組「ROCK KIDS 802」の出演権が提供されるというから、発表の場が少なくなっているであろう学生たちにとっても嬉しいイベントだ。
今年は新型コロナウイルスの影響で世界中が暗いムードに包まれてしまった。せめて最後くらいは美しい光に包まれて、来年への希望を祈りたいものだ。(編集担当:今井慎太郎)