DyDo、第3四半期は減収増益で着地

2011年11月24日 11:00

 ダイドードリンコは21日、平成24年1月期第3四半期業績を発表した。グループ全体での売上高は1129億700万円(前年同期比2.6%減)、営業利益は65億2800万円(前年同期比10.2%増)、経常利益は57億7200万円(前年同期比7.2%増)となり、四半期純利益は19億9700万円(前年同期比19.5%減)となっている。

 国内経済は3月11日の東日本大震災の影響が甚大であったことにより、生産や調達の先行き不透明感は一層高まり、個人消費も引き続き厳しい状態となっている。その後のサプライチェーンの復旧とともに持ち直しの動きが見られたものの、電力供給や円高の進行、海外経済の先行きへの懸念など依然として厳しい状況で推移。飲料業界においても、消費者の節約志向は依然継続しており、さらに低価格化が進行することで販売競争も激化している。

 そのような中、同社グループは飲料販売部門において、平成23年1月21日付けで、営業・生産・商品開発を中心とした組織改革を継続的に実施し、製品開発からオペレーションまで全てのビジネスプロセスを見直し、持続的発展が展望できる堅固な収益体質の構築を目指してきた。また、震災後は東北地方に設置していた一部の自動販売機に被害があったものの、その後の被災地復興に合わせる形で自動販売機網の再整備に尽力。東京電力管内等における更なる節電対策として、蛍光灯の24時間消灯に加え、電力使用ピーク時の冷却運転停止時間を従来よりさらに拡大し、最大使用電力の25%以上削減を実施するなど、使用電力の削減にも努めてきた。また、業務の全面的な見直しによる固定費削減など徹底したコストコントロールも行い、利益確保に注力することで、震災による影響を最小限に抑制すべく注力してきたという。

 また、主力ブランドの1つである「デミタスコーヒー」シリーズにおいて、”贅沢に凝縮した旨味を小容量で提供する”という発売当初からのコンセプトはそのままにリニューアルを行い、「デミタスコーヒー」「デミタスグランブルー[微糖]」「デミタスサファイアBLACK[無糖]」を発売。CMコマーシャルに女優の篠原涼子を起用し、ecoで満たす「ミタスデミタスキャンペーン」を展開するなど、積極的な販促活動を行い、幅広いユーザーの囲い込みとシェアの維持拡大を行っている。また自然派ウォーター「ミウ」については、食品の品評会として世界で最も歴史のあるモンドセレクションの金賞を3年連続受賞。同社の主力販路である自動販売機においては、不採算先自動販売機の撤去やスクラップ&ビルドという投資効果に主眼をおいた設置ロケーションの選定を実施している。さらに採算性を一層重視した強固な全自販機の見直しを行ない導入する自動販売機も「ヒートポンプ自販機」、「LED照明自販機」「IH自販機」など環境を意識した節電性の高い「エコ自販機」の徹底した開発・採択にまい進。大震災で評価された迅速で有効な支援ツール「災害救援自販機」や、収益金の一部を募金として寄付する「社会貢献型自販機」を投入するなど、地域社会や消費者に支持される新しい自販機を積極投入している。

 一方、飲料受託製造部門においては、「美容と健康」を謳った女性向け商品を開発する体制を構築、大手化粧品会社など多方面にわたる受注を獲得。さらに営業開発体制の強化並びに生産体制の整備拡充に加え、大手医薬品等有力メーカーの生産スタイルが「自社生産」から「OEM生産」にウエイトシフトしたことなどにより、安定した受注を確保、業績を伸長させている。

 以上の結果、同グループは長引く不況と大震災の影響を受けてはいるものの、グループ内における抜本的構造改革による経営体質の改善や前期より取り組んできた業務の全面的な見直しによる固定費削減など、徹底した経営効率の向上により、平成24年1月期第3四半期業績は減収増益という結果となっている。

 また今後の見通しにおいては、依然として続く雇用・所得環境の悪化や止まらないデフレの進展などにより清涼飲料全体の消費に対する節約志向は今後も続くと思われ、厳しい経営環境が続くものと予測される。こうした中、リスクの少ないファブレス経営としての安定した財務環境を維持しつつ、主力のコーヒー飲料の需要をさらに喚起すべく、様々なマーケティング戦略を展開。ブランドをさらに強化させることで、販売拡大に繋がるよう尽力していく。