2020年度の国内での新車販売は不調であった。もちろんこれはコロナの影響によるもので、自動車市場の低迷は世界的なものだ。不調の要因は外出抑制と接触回避によるもので、自動車だけでなく対面販売を基本とする業態のほとんどが影響を受けている。新車の場合、コロナ禍を避け買い替え時期を平均3カ月ほど遅らせるという消費者行動となっていたようだ。オンライン営業などの努力もあり新車販売は自家用車を中心に持ちかえしてきてはいる。こうしたコロナ禍での消費者の行動変容は中古車市場でも見られたようだ。20年にはこれまで拡大傾向で推移してきた中古車市場が統計を取り始めてから初めて購入総額で前年割れを記録した。
6月1日、リクルートが企画制作している中古車情報メディア「カーセンサー」が実施した「カーセンサー中古車購入実態調査2020」の集計レポートを公表している。調査対象は沖縄を除く全国の18~69歳の男女で「直近1年以内に中古車を検討・購入した者」で、昨年8、9月に実施され、回答回収数は約20万件である。
レポートによれば、20年の中古車購入の費用総額は3兆4365億円と推計され、15年の調査以降拡大傾向にあった中古車市場は前年より3133億円の減少となった。購入率は3.1%で昨年より0.1ポイントの減少、購入単価は135.5万円で前年より8.1万円の減少、台数は253.6万台で前年より7.5万台の減少と全てにおいて前年割れだ。
購入単価を詳しく見ると、「50~100万円未満」が24.7%で最も高く前年より2.8ポイント上昇、「200万円~400万円未満」は減少し、「400万円以上」は0.1ポイント上昇でほぼ変化はなく、100万円未満での人気が高まったようだ。コロナ前後(19年後半と20年前半)を比較すると、コロナ後では「20~40万円未満」、「40~60万円未満」が上昇、「120~140万円未満」、「140~160万円未満」が減少、200万円以上では大きな変動は見られない。
購入の目的・用途を見ると、「通勤・通学用」が前年より2.6ポイント上昇し41.1%となり、調査開始以降で初めて40%を超えた。コロナ後では「レジャー用」が6.0ポイント落ち込み、「通勤・通学用」が3.1ポイント増加、「運転を楽しむため」1.7ポイント増、「家族の送迎用」1.2ポイント増などが高くなっている。こうした動向を裏付けるように購入したボディタイプでは「軽自動車」が40.2%で最も多く前年より3.3ポイント増加している。(編集担当:久保田雄城)