新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は8月下旬からの減少傾向を維持している。これまで約4カ月周期で感染の流行と収束の波が繰り返され徐々に増加傾向で推移してきたが、今回の収束は前回の谷の水準を下回るものとなっており、以前とは違った局面に入ったと考えられる。ワクチン効果とも考えられるが正確なことは分かっていない。緊急事態宣言等も全面解除となった。しかし、海外の感染状況や第6波の懸念からワクチン接種が人々の感染不安を十分には払拭しておらず、しばらくは自粛ムードが続き旅行やその他の消費行動は抑制的に推移する見込みだ。
JTB総合研究所が10月上旬に全国の20歳以上の男女6383人(予備調査含む)を対象に「新型コロナウイルス感染拡大による、暮らしや心の変化および旅行に関する意識調査」を実施、10月28日にその結果レポートを公表している。これによれば、「ワクチン接種が完了しても、しばらく会食・外出・旅行は控えたい」と回答した者の割合は27.9%と7月下旬の前回調査より0.5ポイント増加となっており、「今後1年間に国内旅行を予定・検討している」との回答は35.8%で前回から1.3ポイント増加したものの微増にとどまっている。レポートでは「外出・旅行への意識は、緊急事態宣言解除後も不安や慎重な気持ちは大きく変わらない」と評価している。
「1年内の国内旅行を予定・検討している」と回答した者を年代・男女別に見ると、20代女性で49.7%と高くなっており、前回7月調査の45.1%から4.6ポイント増加している。レポートでは40代・50代女性での上昇も含め「女性全体の意欲が改善」しているとみている。「1年内の国内旅行を予定・検討」している者のうち21年内の旅行を予定・検討している者の割合は56.0%となっているものの、実際に「予約・購入」をした者は30.9%にとどまっている。
「1年内の国内旅行を予定・検討」している者の旅先について見ると、関東圏居住者の旅先は域内が前回より増加し遠方は伸び悩んでいる。他方、他地域から関東圏への意向は高まっている。レポートは「首都圏に住む旅行者は他の地域に比べ、総じて不安や慎重な気持ちが高い傾向」があると評価しており、「感染地域に住むからとお断りされた側に根付いた不安な気持ちを溶かし、行かない時でも互いが共感できる地域になるという姿勢は、地域の将来像を考える上でも重要」とまとめている。(編集担当:久保田雄城)