企業の経営体力が限界に達している。コロナ禍の長期化で今年に入りコロナ関連倒産は増加傾向で推移し、特に春以降は月に100件以上で増勢を強めている。コロナ禍初年の昨年2020年は各種資金繰り政策が奏功しコロナ関連倒産も落ち着きを見せていた。しかし、今年春以降は業績回復が見込めないまま返済がスタートする過剰債務の状態に陥った企業が3社に1社になるなど、先行き不透明の中、債務が膨らむ前に自ら事業継続を断念する息切れ型倒産、あきらめ型倒産が急増している。当初は飲食業などコロナの直接的打撃を受けた業種が主であったが、徐々に関連取引業種に広がり、地域的にも宣言やまん防の対象地域外にも波及し、47都道府県全てでコロナ関連倒産が確認されている。
9月30日に東京商工リサーチが9月のコロナ関連破綻調査の結果を公表したが、これによれば、9月中の負債1000万円以上の新型コロナ関連経営破綻は160件に達し、これまでの最多を更新し、累計で2054件(倒産1949件、弁護士一任・準備中105件)となった。負債1000万円未満の倒産は累計111件判明しており、これを含めると累計2165件となる。負債1000万円以上の破綻は今年に入り、2月に122件と100件超えになった後、3カ月連続で最多件数を更新し、5月に124件と減少したが、6月は155件、7月140件、8月124件と100件超えの高水準を維持し、9月は最多を更新する160件となった。
業種別では飲食業が372件で最多、次いで、建設業203件、アパレル関連製造・販売166件と続いている。インバウンド需要消失や旅行・出張の自粛が影響した宿泊業も95件と高水準だ。倒産1949件の手続き形態を見ると、破産が1734件で全体の88.9%を占め最多、次いで民事再生法が95件、取引停止処分87件、特別清算23件、内整理9件、会社更生法1件の順となっている。約9割を消滅型の倒産が占め、再建型の会社更生法と民事再生法の合計は1割に満たない。レポートは「先行きのめどが立たず、再建型の選択が難しいことが浮き彫りとなっている」と分析している。
地域別では、東京都が463件で全体の22.5%を占め、大阪府220件、神奈川県102件と続き、47都道府県全てでコロナ関連破綻が発生しており、負債額1000万円以上では秋田県5件、山梨県4件、和歌山県9件、鳥取県4件以外は2桁以上の破綻が発生している。早期の経済正常化が望まれる。(編集担当:久保田雄城)