岸田内閣が労働者の所得増を目指す策としている「賃上げ税制」にも企業が一部社員の給与のみを引き上げて優遇税制措置を受けることができる欠陥などが15日の衆院予算委員会で明らかになった。立憲民主党の城井崇政調会長代行が質問で指摘。政府側が認めた。
城井議員は「継続雇用者の1人当たり給与の増加が要件になっており、非正規も含めて全雇用者の給与総額の増加を対象としているが、脱法的に使われる可能性がある」と指摘。
具体例として「1部の社員だけ給料をあげ、給与総額を引き上げる」「外部発注を非正規雇用などで内製化する」「毎年小さな会社を経営統合し給与総額を増やす」などでも賃上げ税制が適用されるのかを質した。鈴木俊一財務大臣はほぼ適用されるとし、制度上の欠陥を認めた。
城井議員は「本来1人ひとりの給与を上げたい仕組みのはずだが(こうした抜け道を使わせないための)対策は」と質した。岸田文雄総理は「社会全体で1人ひとりの賃上げが実現するために、さまざまな仕掛けをつくり、賃金を引き上げるという機運をつくることが大切」とするにとどまり、城井議員の指摘は重要な指摘としながらも、具体の対策に答えなかった。(編集担当:森高龍二)