日産自動車は北米ミシシッピ州にある日産キャントン工場を、米国における電気自動車(EV)生産の中心拠点とする計画を発表した。日産はキャントン工場に新たな投資によって最新のEV生産技術を導入し、当面2車種の新型EVを生産する計画だ。
この発表は、2030年までに日産・インフィニティの両ブランドで15車種のEVを含む23車種の電動車をグローバルに展開する「Nissan Ambition 2030」に基づく施策の一環だ。
具体的に今回、日産はEV生産に向けて総額で5億ドルの投資を行なうという。同工場の約2000名の従業員は、雇用を維持しながら各人のスキルアップを図り、2025年にEV完成車の生産を開始するラインに従事する予定だ。
日産の最高執行責任者(COO)アシュワニ・グプタ氏は「今回の発表は、米国でEVシフトを加速させるための投資の第一弾となるものです。日産はキャントン工場の将来のために積極的な投資を行ない、最新の技術を投入し、従業員にトレーニングの機会を提供することで、トップレベルのEVを生産します」と述べた。
なお、今回の日産の投資は、州政府、郡政府、地方自治体との強力なパートナーシップによって支えられたものである。
米国ミシシッピ州のテイト・リーブス知事は「日産は、ミシシッピ州の自動車産業の礎です。同州の人々は、キャントン工場を開設してから約20年にわたり、グローバルな自動車メーカーである日産車の生産を続けています。今回、日産が同工場でEVとバッテリーパックを生産すると決定したことで、ミシシッピ州は再びグローバルな注目を集めることになります。そして、同工場で働く従業員は誇りを持って仕事に取り組み、永続的な成功を目指すことができます。ミシシッピ州のチームは、最高レベルの品質のEVを生産する準備ができています」とコメントした。
今回の発表の基礎となる昨年11月に公表した「Nissan Ambition 2030」のなかで日産は、ワクワクする電動車両と革新的な技術の提供。そして、環境問題や社会課題、そしてユーザーのニーズを考慮しながら、モビリティの可能性を拡げ、よりクリーンで安全でインクルーシブな世界の実現を目指すとしていた。
日産は、電動化と生産技術の革新を追求し、2050年までにグローバルな事業活動と製品のライフサイクル全体でカーボンニュートラルを達成するという目標を掲げる。この取り組みの一環として、2030年までに同社の米国販売の40割をEVとする。
同時に、長期ビジョン「Nissan Ambition 2030」は、環境問題や社会課題、そして変化する顧客ニーズに対応し、よりクリーンで安全、誰もが共生できる社会の実現と、真に持続可能な企業となることを目指すとした。この長期ビジョンで、「共に切り拓く モビリティとその先へ」をスローガンとして、人や社会とつながる体験を提供し、移動の可能性を広げていく。また、モビリティを中心としたエコシステムを構築し、社会の可能性を広げる。
この日産長期ビジョンは、2050年度までに製品のライフサイクル全体でカーボンニュートラルを実現するという当社の目標を支える基本計画であり、日産の社長兼最高経営責任者(CEO)である内田誠氏は、
「社会のニーズや期待に応えるために、企業が果たすべき役割と責任は、ますます大きなものになっています。こうした大きな変化に対応するため、『Nissan Ambition 2030』では電動化の時代に向け、先進技術でカーボンフットプリントを抑制し、新たなビジネスチャンスを追求していきます。そして、ユーザーや社会から真に必要とされる持続可能な企業へと日産を変革していきます」と語った。
ミシシッピ州キャントン工場は2022年で操業、5000人以上の従業員が働いており、2003年に操業を開始し、これまで累計約500万台の自動車を製造してきた。同工場では現在、「アルティマ」「フロンティア」「タイタン」「タイタンXD」を生産している。(編集担当:吉田恒)