日産、第3四半期決算発表で上方修正 「ガソリンエンジン開発中止」報道を一部否定

2022年02月20日 09:25

日産2021年第3四半期決算

日産、COOのアシュワニ・グプタ氏(写真左)とCFOのスティーブン・マー氏(同右)が登壇 2021年度第3四半期(2021年10月~12月)決算を発表

 日産自動車は2022年2月8日、決算説明会を開催。最高執行責任者(COO)のアシュワニ・グプタ氏および最高財務責任者(CFO)のスティーブン・マー氏が、2021年度第3四半期(2021年10月~12月)決算を発表した。

 発表によると同社の第3四半期売上高は前年同期の2兆2248億円から178億円のマイナスとなる2兆2070億円だが、営業利益は同271億円から251億円プラスの522億円、当期純利益は同マイナス378億円から705億円プラスの327億円となった。

 また、2021年度第3四半期までの累計(2021年4月~12月)実績は、売上高6兆1540億円(前年同期比8366億円増)、営業利益1913億円(前年同期比3229億円増)、経常利益2560億円(前年同期比4723億円増)、当期純利益2013億円(前年同期比5690億円増)となった。

 なお、第3四半期の3カ月間のグローバル販売台数は、前年同期の108万1000台から17万7000台減の90万4000台だった。

 つまり売上高、営業利益などが、総じて改善している模様。そのため通期の見通しについても、営業利益を前回予想の1800億円から2100億円へ上方修正した。上乗せした300億円の内訳は、円安が進んだ為替変動で100億円、販売の質の向上やコストの最適化で100億円、原材料価格を見直すことで100億円、それぞれ稼ぎ出したという。

 販売台数予想は前四半期の発表から通期予想に変更はない。売上高は前回見通しから若干下がるが、前年同期比でプラスとなる。加えて営業利益、当期純利益は、ともに改善。通期の予想も前回見通しよりも増加している。

 今回の決算発表会の前に一部報道で、「日産はガソリンエンジン開発を行わない」との報告、今後についてCOOのアシュワニ・グプタ氏が答えた。具体的には、日本経済新聞の「日産がエンジン開発終了へ。まずは欧州、日中も段階的に」という報道について、欧州向けエンジン開発の終了を認めたのである。

 グプタ氏曰く「ガソリンエンジンは欧州市場向けには開発しない。なぜならユーロ7では、はるかに高い対価をガソリンエンジン車に支払わないといけなくなる」ため、欧州向けの開発をやめるという。しかし、「市場によっては、まだまだ(エンジンを含め)異なるパワートレーンを求めるニーズに応えないといけない」と、完全にやめるわけではないことも説明した。グプタ氏は北米向けのフェアレディZやSUVのローグがガソリンエンジンを搭載していることを挙げながら述べた。

 説明を行なったアシュワニ・グプタ氏は今回の決算発表結論として、「新型コロナの感染拡大、半導体の供給不足による影響に直面している」としながら、自動車の世界市場全体需要が前年比82%と落ち込むなか、日産車の販売減は16%にとどまる。各主要地域の市場においても、販売台数減となるも、市場全体の販売減よりもマイナス幅は小さく、この点において競合他社よりも好調であると強調した。(編集担当:吉田恒)