日産 ルノー 三菱自アライアンス 共通プラットフォーム、バッテリー戦略&技術革新、魅力的な商品提供のために

2022年02月02日 06:53

Nissan MICRA

欧州電動車投入の一環として欧州市場で発売する新型コンパクトEV。新型は日産のエントリーカー、マイクラの後継車。アライアンスのCMF B-EVプラットフォームを採用。日産がデザイン、開発と生産をルノーが担当する

 ルノー・日産・三菱自動車アライアンスは、2030年に向けてともに未来を切り拓くため、モビリティのバリューチェーンにフォーカスしたプロジェクトの大筋とそれを確実に実行するための計画概要「Alliance 2030」を1月27日に発表した。今回はアライアンスの電動化戦略に絞り込んで報告する。

 2030年に向けて3社は、電気自動車(EV)とコネクテッド・モビリティに注力する。その目的達成に向けて、第一の課題として、直近2026年までにプラットフォームの共用化率80%を目指す。

 アライアンスはEV分野のパイオニアとして、電動化推進に100億ユーロ以上を投資してきた。が、今後5年間で電動化に総額230億ユーロ以上の投資を実施、2030年までに35車種の新型EVを投入する予定だ。そのうち、90%の車種は5つの共通EVプラットフォームをベースとし、世界のすべての市場・主要地域をカバーする。

 ルノーは、一体型の共通電気・電子アーキテクチャーの開発の牽引役を担う。2025年までに完全にソフトウェア定義(software defined)した車両を投入する。

 アライアンスはプラットフォーム、生産工場、パワートレーンなど、共用化要素を集約、各車種に適した共用化の度合い「Smart Differentiation(スマート差別化)として開発。これにより細かく差別化する。例えば、C/DセグのSUVを例に挙げると、共通プラットフォームから5モデル、つまり日産の「キャシュカイ」「エクストレイル」、三菱自の「アウトランダー」、ルノーの「オーストラル」、および今後発売予定の7人乗りSUVを生産する。

 三菱自は、電動化を加速するため今後5年間で230億ユーロを投資し、ルノーの最量販車をベースとする新型車2車種を欧州市場へ投入。2030年までに5つのEV専用共通プラットフォームをベースにした35車種の新型EVを投入する。

 日産は、別途報告するCMF-BEVプラットフォームをベースに、欧州で販売するマイクラ(日本名:マーチ)の後継車となる新型EVを発表する。仏北部のルノー・エレクトリシティで生産を行なう計画だ。また、2030年までにグローバルで220GWhのバッテリー生産能力を構築し、アライアンス共通のバッテリー戦略を強化する。日産は、全固体電池の技術開発をリードし、そのメリットを最大限活かす。

 その欧州電動車投入計画の一環として欧州市場へ新型コンパクトEVを発売すると発表した。新型は日産のエントリーカー、マイクラの後継車だ。

 そして、新型EVは2030年に向けたアライアンスのCMF B-EVプラットフォームを採用。日産がデザイン、開発と生産をルノーが担当する。今回、そのデザインの一部を披露したが、共通プラットフォームを採用しながら、モデルごとに独自のスタイリングを実現することができる。

 同モデルは、e-NV200の後継モデルである新型「タウンスター」を含む、フランスのルノーが生産する日産車のラインアップとなる。

 また、アライアンスは全固体電池(ASSB)技術に関する大胆なビジョンを共有している。ライバル各社に先駆けてバッテリー技術開発に取り組んできた日産は、蓄積してきた知見に基づいてこの技術分野でリードし、アライアンスで活用するのは云うまでもない。

 ASSBは現行の液体リチウムイオンバッテリーと比較してエネルギー密度が2倍に向上し、充電時間は3分の1に短縮する。ユーザーはより便利に、より安心して、より楽しく、より長い距離を走行することができる。2028年半ばまでにASSBの量産を開始し、さらに将来的にエンジン車と同等のコストを実現し、EVシフトを加速させる。(編集担当:吉田恒)