ENEOSほか参画「次世代グリーンCO2燃料技術研究組合」、バイオ燃料の“栽培からつくる”を研究

2022年07月27日 06:37

Carbon Neutral Energy

国内民間企業6社が、バイオ燃料を「つくる」プロセスでの効率化を研究、カーボンニュートラル社会を実現するため、「次世代グリーンCO2燃料技術研究組合」を設立した

 国内6社、ENEOS、スズキ、SUBARU、ダイハツ工業、トヨタ自動車、豊田通商は、燃料を「つくる」プロセスでの効率化を研究、カーボンニュートラル社会を実現するため、「次世代グリーンCO2燃料技術研究組合」を設立したと発表した。

 所謂カーボンニュートラルの実現には、多種多様な地域およびエネルギーを使う人々のニーズに対応するため、多様な選択肢を提供することが重要となる。再生可能エネルギー由来の電力を基にした水素や合成燃料、植物の光合成によりCO2を削減できるバイオエタノール燃料も有力な選択肢であり、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)においてもその有効性が確認されています。

 しかし、いずれの燃料においても、原料調達だけでなく製造工程におけるCO2排出量の低減や社会実装に向けた課題を明らかにし、その解決方法を探索することが不可欠だ。

 今回6社が協働で立ち上げた研究組合では、カーボンニュートラル社会実現のため、バイオマスの利用、生産時の水素・酸素・CO2を最適に循環させて効率的に自動車用バイオエタノール燃料を製造する技術研究を進める。バイオエタノールはすでにブラジルを始めとした世界で具体的に運用が活発に行なわれている内燃機関自動車向け燃料だ。

 具体的な研究領域は以下。

 まず基本となるエタノールの効率的な生産システムの研究。食料と競合しない第2世代バイオエタノール燃料の製造技術の向上を目指し、生産設備を実際に設計・設置・運転し、生産面での課題を明らかにし、解決方法を研究するとともに、生産システムの効率改善を検討する。

 第2に、副生酸素とCO2の回収・活用の研究の実施で、水素製造時に副生成物として発生する高濃度酸素、および、バイオエタノール燃料製造時に発生するCO2の活用方法について研究する。

 そして、燃料活用を含めたシステム全体の効率的な運用方法の研究を進める。エタノールの生産システム構築で得られたバイオエタノール燃料を自動車等に使用した際の課題を明らかにし、解決方法について研究する。また、原料栽培の生産量から製造される燃料量までを予測可能とするモデル像を検討する。

 加えて、効率的な原料作物栽培方法の研究も大きな課題だ。バイオエタノール燃料の原料確保のために、収穫量の最大化と作物の成分の最適化を目指し、最適な栽培方法を提案するシステムを開発する。土壌の成分調査などを通じて、収穫量の予測精度の向上を目指す。

 6社によるバイオエタノールの原料栽培から、燃料の生産システム、副産物の活用、そしてシステム全体の効率的な運用方法の開発で、日本の民間企業による研究が世界をリード出来るか。バイオエタノールは自動車エンジンとして技術確立している内燃機関で使える(使っている)燃料だけに、CO2削減の速効性は高い。期待が高まる。(編集担当:吉田恒)