159円の円安で海外出張費が高止まり。110円時代比で航空券10万円弱の上振れ

2026年03月12日 12:36

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出張費抑制に動く日本企業。1ドル159円の「弱い円」が阻むビジネス渡航

今回のニュースのポイント

・3月12日時点のドル円相場は1ドル=158.9〜159円前後で推移しており、直近1カ月で数%程度、この1年で数%後半〜1割弱の円安が進行しています。

・例えば、米主要都市との往復航空券が2,000ドルの場合、1ドル=110円時(約22万円)に比べ、現在の159円前後では約31万8,000円と、1枚あたり約10万円近いコスト増となります。

・人事コンサルティング会社等の調査では、企業が出張規定を厳格化し、航空券のクラス制限や滞在日数の短縮、近距離アジアへのシフトを進めている実態が報告されています。

 為替相場の変動が、日本企業の海外戦略に影響を及ぼしています。3月12日時点のドル円相場は1ドル=158.9〜159円前後で推移しており、直近1カ月で数%程度、この1年で数%後半〜1割弱の円安が進行しています。為替が159円水準にあるなか、航空券や宿泊費といった海外出張コストの円換算額は、過去と比べて高い水準で推移しています。

 具体的なコストの変化は、航空運賃の換算例に見ることができます。燃料費や需要回復の影響で、米主要都市との往復運賃は2,000ドルを超えるケースが珍しくありません。1ドル=110円程度だった数年前であれば約22万円だった航空券が、現在の159円前後では約31万8,000円となります。チケット1枚につき約9万8,000円の上振れが生じる計算であり、これが宿泊費や現地交通費にも波及しています。

 こうしたコスト圧力に対し、人事コンサルティング会社や旅行会社の調査では、企業側が「出張の選別」を強めている実態が報告されています。企業の出張規定の見直しでは、航空券のクラス制限や宿泊費上限の設定、滞在日数の短縮などが進められています。JTBの2026年旅行動向見通しでも、円安や物価上昇を背景に、アジアを中心とした近距離方面への需要が続く一方、1人当たりの旅行費用は上昇すると予測されています。ビジネスの現場でも、遠距離の欧米訪問を控え、近隣アジアへ拠点を移す、あるいはオンライン会議に置き換える動きが出ています。

 また、観光庁などの公表資料によれば、訪日外国人旅行消費額は2024年に8兆円超となり、2025年には9兆円台に乗せたと報告されています。こうしたインバウンド需要の拡大により、都市部のホテル料金は海外客向け価格が基準となりつつあります。結果として、海外のみならず国内出張でも宿泊費が嵩み、必要最低限の人数に絞った「精鋭型」の出張スタイルが広がっていると指摘する調査もあります。

 為替市場では当面、158~160円を巡る攻防が続くとの見方が大勢を占めています。159円台定着や160円台への到達が現実味を帯びる中、企業は「オンライン会議の標準化」や「海外拠点への権限移譲」といった構造的な見直しを検討しています。円安の長期化が予測されるなか、企業における「海外経験」の提供のあり方そのものが変容する可能性も示唆されています。(編集担当:エコノミックニュース編集部)