三菱重工業は、インドに原動機事業の地域統括会社、三菱パワーシステムインド社(Mitsubishi Power Systems India Private Limited:MPS India)を11月1日付で設立、営業を開始した。急激な成長を続けるインドで、同国の発電設備市場に対応し、電力システムの受注拡大を狙う。
新会社は、インド三菱重工業(MHI India)の電力システム部門を分離独立、体制を強化させて発足。バンガロールに本社を置き、デリーにも拠点を設置して地域戦略を立案しつつ、電力システム・原動機製品全般の営業から施工・アフターサービスまでを一貫して手掛けていく方針だ。
三菱重工はすでに2007年に、インド建設最大手で総合重機メーカーでもあるラーセン・アンド・トウブロ(Larsen & Toubro Limited:L&T)と、超臨界圧ボイラーおよび蒸気タービン・発電機をそれぞれ製造・販売する2つの合弁会社(BTG※合弁会社)を設立しており、すでに同国市場で多くの実績を挙げつつある。そこで得たノウハウを武器に、インド市場の更なる深耕を目指すとのこと。
今回、三菱重工が原動機事業の地域統括会社を立ち上げるのは、米国、欧州、東南アジアに続き4件目。近接する東南アジアにも統括会社が存在するにも関わらず、あえてインドに新設することからも、インド市場の大きさと先行きへの期待が見て取れる。
インドの経済発展に伴い、新たなる市場開拓・確保を目指して同国に進出する日本企業は増加の一途を辿っている。三菱重工が合弁会社を設立した2007年当時、日系企業の数は約500社強だったのに対し、本年は約1200社を超えており、この4年で倍増している。しかしその多くは支店の設置のみであったり、合弁会社の設立だったりと、足がかり的な要素が大きい。そんな中いち早くインド三菱重工を設立し、現地での実績を積み上げてきた三菱重工の地域統括会社設立は、地に足をつけた大きな二歩目。その動向は、本格的なインド進出を窺う他企業にとっても、先を占う大きな関心事となるだろう。