企業倒産が急増している。企業倒産件数はコロナ禍での各種資金繰り支援などを背景に2020年秋から減少傾向を維持し歴史的な低水準で推移してきた。しかし、今年3月からの急速な円安で原価高騰が顕在化した春以降、倒産件数は増加基調に反転し、9月も前年同月比13.9%増の高水準と5カ月連続で増加、その勢いは加速している。
10月11日、帝国データバンクが「全国企業倒産集計」の9月分と22年度上半期(4月~9月)分を公表している。これによれば、9月の倒産件数は583件で、前年同月比13.9%と5カ月連続で前年同月を大幅に上回り、前月比も18.3%増と、その勢いを増している。負債総額は1350億3100万円、前年同月比47.7%増、20年7月以来2年2カ月ぶりに2カ月連続の1000億円超えとなっている。22年度上半期(4月~9月累計)では、倒産件数3123件、前年同期比6.3%増、負債総額は1兆7657億9500万円で同205.3%増と、17年度上半期以来5年ぶりに1兆円台を記録した。
業種別にみると、上半期累計では小売業除く6業種で前年同期比が増加となっており、特に建設業では前年同期比が21.5%増と、上半期として08年度以来14年ぶりの2ケタ増となっている。特に空調工事や給排水工事など一般管工事を中心とした設備工事の増加が全体を押し上げている。また、運輸・通信業でも同26.3%増と大幅な増加で、背景に燃料費高騰やドライバー不足などがあり、道路貨物運送での増加が目立っている。サービス業も同18.4%増と09年度以来13年ぶりの2ケタ増加となっており、コロナの影響か病院など医療業などの増加が目立つ。
倒産主因別にみると、「販売不振」が 2339 件で倒産全体の74.9%を占め最多となっており、これを含めた「不況型倒産」の合計は2382件で全体の76.3%を占める。コロナの影響で経営体力を喪失していたところに原価高騰や人件費高騰がトドメになったとも推測される。負債規模別では、負債「5000万円未満」の倒産が1786件で全体の57.2%を占め、1~10億円規模の中規模倒産の増加が目立っている。資本金規模別では、1000万円未満が2078件で全体の66.5%を占め、中小零細が中心となっているようだ。
レポートは「大型倒産の発生は抑制されているものの、コロナ関連融資などを背景に膨らんだ借入金が押し上げる形で、倒産企業の負債額が足元でじりじりと増加している」と指摘する。(編集担当:久保田雄城)