コロナ倒産、再加速。業績回復難しく、過剰債務で「息切れ倒産」。二極化傾向も

2022年07月03日 09:48

画・コロナ倒産、再加速。業績回復難しく、過剰債務で「息切れ倒産」。二極化傾向も。

東京商工リサーチが「コロナ関連破綻」レポート。2021年の年間件数は1718件、前年843件の2倍に増加。6月もハイペース

 コロナ禍初年の2020年は、各種資金繰り支援が奏功し、企業倒産件数は歴史的低水準を記録した。現在もなお倒産件数全体としては低水準であるものの、21年から業績回復のないまま返済がスタートする過剰債務問題が発生し、徐々にコロナ関連破綻は増加傾向で推移してきた。特に今年に入ってからは月間100件を超える水準が続いていた。春頃、一時落ち着きを見せたが、6月に入り再びコロナ関連破綻は加速傾向となっているようだ。

 東京商工リサーチが「新型コロナ関連の経営破たん(倒産、弁護士一任・準備中)」の日報を発表しているが、これによれば、21年におけるコロナ関連破綻件数は、過剰債務などから増大し累計で1718件に達し、前年20年843件の2倍に倍増している。22年に入っても月間100件以上の状況が続き、6月には212件と200件を超え過去2番目を記録し再び加速の兆しが見られる。6月までの累計件数は前年同期比30.7%の1029件増となっており、経済活動再開以降も業績を回復できない息切れ型の破綻が増えており、前年と比べ2カ月早く1000件を超えて、破たんのペースが加速している。

 捕捉が難しい負債1000万円未満の小規模倒産は、判明分だけで累計189件となっており、これも含めた新型コロナウイルス関連破たんの累計は既に3804件に達している。6月からは、外国人観光客の受け入れも再開し、補助金の対象拡大など事業再開の動きも見られるが、経営活動の拡大は同時に運転資金の確保の課題も浮上させ、長期化した業績不振の中で過剰債務に陥っている企業も多く、コロナ関連融資を得ながらも「息切れ破綻」に至るケースも少なくなく、レポートは「コロナ破たんは引き続き高水準で推移する可能性が高い」と見込んでいる。

 業種別では、自粛で大打撃を受けた飲食業が588件と最多で、流行地域を中心にコロナ破たんはさらに増加する見込みだ。また、工事見直しなどの影響を受けた建設業が400件、アパレル関連の製造、販売の273件などが続いている。飲食業の不振に影響された飲食料品卸売業も159件、ホテル・旅館などの宿泊業が135件と上位を占めている。さらに、100億円以上の大型破たんが9件発生し、小・零細企業のみでなく大企業まで経営破たんが広がっている模様だ。しかし、従業員数が判明した3457件を見ると、従業員5人未満が全体の56.7%と6割近くを占め、5人以上10人未満が同19.7%、10人以上20人未満が同12.5%などと、やはり小規模事業者にコロナ破たんが集中しているという二極化が見られる。(編集担当:久保田雄城)