日本に外国人観光客が戻ってきた。
10月11日、新型コロナの水際対策で停止していた外国人観光客の本格的な受け入れが、約2年振りに再開。コロナ以前の空前のインバウンドブームとはいかないまでも、円安の追い風もあって、着実に外国人観光客の姿が増えてきている。
以前のインバウンドと少し違うのは、有名観光地だけではなく、これまでは外国人観光客があまり訪れていなかったような地方の町にも分散しているように見受けられる点だ。やはりウィズ・コロナ時代だけあって感染防止を意識していると思われる。また、地方創生事業の一環として行われているICT を活用したインバウンド観光に関する取組み、地方自治体ホームページの多言語化など、地道な努力も実を結び始めているのだろう。地方には、そこでしか見られないような美しい景色や、そこでしか味わえない美味しい食べ物、他では体験できないアクティビティなど、まだまだ日本人でも知らないような日本の魅力が隠れている。
そんなアドベンチャーツーリズムを刺激するような取り組みも各所で増えてきている。
その代表的なものが、積水ハウスと世界最大級のホテルオペレーターであるマリオット・インターナショナルが共同で進めている地方創生事業「Trip Base 道の駅プロジェクト」だ。同社らは「未知なるニッポンをクエストしよう」というコンセプトのもと、道の駅に隣接する宿泊特化型ホテル「フェアフィールド・バイ・マリオット」を建設。地域の人たちや50社のパートナー企業とも連携して、その地域ならではの味覚や景色、歴史などの観光コンテンツやアクティビティの魅力を最大化するとともに、ホームページなどを通じて季節ごとの情報を1億7千万人いるマリオットの会員組織 Marriott Bonvoy 会員に提供し、情報発信も積極的に行っている。
観光業界全体が新型コロナ渦中で喘ぐ中でも「Trip Base 道の駅プロジェクト」は着実に活動の範囲を広げており、11月1日には、兵庫県内で初、さらには同プロジェクトで初となるリゾートエリアでの「フェアフィールド・バイ・マリオット・兵庫神鍋高原」を開業した。神鍋高原といえば、関西でも屈指のスキーリゾート。これからのスキーシーズンに向けて期待が高まる。同ホテルのオープニングセレモニーに登壇した、積水ハウス代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの仲井嘉浩氏は、「通過点になっていた道の駅に宿泊機能を加えることで、さらに道の駅のポテンシャルが活かされ、マリオットとタッグを組むことで、インバウンド客が訪れて、日本人でさえ気づかなかった地域の魅力を発見してくれることも大いに期待したい」と述べた。また地方リゾート×インバウンドの課題である、高付加価値を求める外国人旅行客に対応した宿泊施設が少ない点も、本開業が解決の一助になると考えているようだ。
11月4日には20件目で、中国地方で初となる「フェアフィールド・バイ・マリオット・岡山蒜山高原」も開業した。蒜山は酪農業が有名で、牛の乳搾りなどを体験できるほか、夏にはサイクリングやハイキング、冬はスキーをはじめとした様々なウィンターアクティビティを楽しむことができる。
地方の自然や文化といった豊富な地域資源、地元の人々とふれあいは、ウィズ・コロナ、アフター・コロナ時代の日本の観光業界、地域経済を支える大きな力となるはずだ。国内外の観光客の消費額増加や満足度向上に繋がるだろう。日本の魅力を再発見するアドベンチャーツーリズム。地方の底力に期待したい。(編集担当:藤原伊織)