6月16日(金)・17日(土)の2日間にわたり、日本酒業界最大の団体である日本酒造組合中央会(以下、中央会)が「日本酒フェア2023」を開催した。
このイベントは「令和4酒造年度全国新酒鑑評会 公開きき酒会(以下、公開きき酒会)」と「第15回全国日本酒フェア(以下、全国日本酒フェア)」で構成されており、チケット前売り販売は完売するほどの人気。会場となった池袋・サンシャインシティには日本酒ファンや訪日外国人観光客ら約4500名が来場し、大盛況のうちに終了した。
「公開きき酒会」では、全国新酒鑑評会で入賞した約400点の日本酒が勢ぞろいで試飲できる唯一のチャンスとあって、並んだ日本酒の前に日本酒ファンが列を作り、味だけでなく色や香りも含めた奥深さを楽しんだ。
「全国日本酒フェア」では全国45都道府県それぞれが風土や文化に沿った出展テーマを設けたことで、約1000点もの地域色豊かな日本酒と蔵元が集い、来場者は会場に居ながらにして全国の多種多様な日本酒の風味や味わいを堪能した。
また、日本酒セミナーとして、様々な酒造組合や独立行政法人酒類総合研究所、新潟大学日本酒学研究センターなどから講師を迎え、日本酒の歴史や伝統的な酒造りについて、楽しみ方や将来へ向けての提言といった貴重で幅広いセミナーも開催された。
来場できなかった日本酒ファンに向けて、一部のセミナーのライブ配信や、45都道府県の出展ブースの紹介がYouTubeでネット配信されていた。
当日は多数の訪日外国人観光客が来場した。この「全国日本酒フェア」開催に合わせて来日したというアメリカ人の男性はインタビューに応じ、「ニューヨークの日本食のレストランで日本酒を知った。今回、仲間と共に楽しんだ日本酒をアメリカの友達や家族に紹介します」と日本酒文化を体験した喜びについて語っている。
東京の20代女性からは「これだけ全国の蔵元と日本酒が一堂に会するイベントがないので色々な日本酒が飲めてうれしい。地域の特長もよくわかった」と、日本全国の日本酒が集まる世界最大級のイベントならではの感想も聞かれ、海外での日本酒の知名度や人気の高まり、日本酒ファンの若年層への広がりなどが感じられた。
中央会副会長の佐浦弘一氏は「日本酒の酒蔵は、全国に散らばっていて、地域の歴史、文化、風土とともに育まれてきた。特に日本酒を知ることはその土地の食文化を知ることである。日本酒フェアに来て、日本酒に触れたら、次は、それを造る酒蔵を訪れて、その地域の食文化や風土に触れてほしい」と語り、国内外の日本酒ファンや関心のある人々へPRしていた。(編集担当:久保田雄城)