「期間限定」や「数量限定」の限定商品を見ると、ついつい手が伸びてしまうという人は多いのではないだろうか。自分が興味のあるものなら尚更だ。
限定商品が欲しくなるのは、人間の心理が深く関係している。心理学では「スノッブ効果」や「希少性の法則」などとも呼ばれるが、狩猟採集時代から連綿と続く人間の性だから仕方がない。今でこそ飽食の時代だが、少し前までは世界中の国々が食料や物資に飢えていた。貴重なものを手に入れる機会があれば、出来るだけすぐに手に入れなければならなかったのだ。また、一度買い逃すと、もう二度と手に入らないかもしれない。そのため、限定商品は人々にとってより魅力的に映り、人はそれをより強く望んでしまうのだ。
世の中には、この心理をうまく利用したマーケティングも多い。テレビショッピングなどでもよく見かける販売手法だ。でも、だからといってそれらが怪しい商品ばかりかというと、全くそうではない。限定商品には「限定」である納得の理由と、心理的効果以上の魅力が備わっているものが多いのも事実だ。
例えば、日本酒の老舗・白鶴酒造が6月7日に40本限定で発売した「白鶴 翔雲 純米大吟醸 銀座天空農園 白鶴錦」も、そんな限定商品の一つ。同商品は、銀座から日本酒文化の情報発信をしたいという想いと屋上緑化の取り組みを掛け合わせ、同社が2007年に立ち上げた「白鶴銀座天空農園のプロジェクト」から生まれた日本酒だ。白鶴酒造の東京支社(中央区銀座)屋上で自社開発酒米「白鶴錦」のプランター栽培から始め、2008年には田圃を造成。2009年からは地元の小学生にも田植えと稲刈りを体験してもらうなど、まさに銀座で育んだ酒米を使用している。例年、6月中旬に田植えを行い、収穫する「白鶴錦」の品質が満足のいくレベルとなった2013年に初めて商品化してから、毎年数量限定、銀座の販売店限定で発売しているのだ。
「白鶴錦」のお酒は、「山田錦」のお酒に比べてすっきりとした味わいになりやすいそうなので、日本酒初心者の人にも飲みやすいのではないだろうか。それより何より、年間40本しか限定販売されない、文字通り「幻の日本酒」。日本酒フリークならずとも、一度は味わってみたいものだ。
また、限定商品といえば、真っ先にお菓子を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。とくに夏は、夏季限定の商品が多く売り出される。例えば、ゴディバは毎年恒例のサマー コレクションを今年も開催。2023年のサマー コレクションでは、花火をモチーフにした、目で見るだけでも楽しい、カラフルなチョコレート「ゴディバ サマー コレクション Hanabi」をラインナップする。もちろん見た目だけではない。ビターナチョコレートの中にはフルーツのコンフィチュールとガナッシュやムースの2層が仕込まれてあり、冷凍庫で冷やして食べると、ジューシーなコンフィチュールと、ダークチョコレートのパリッとした食感の新感覚な味わいを楽しむことができる。
最近は、インターネットなどでも全国から商品を取り寄せたりもできるが、せっかくのアフターコロナだ。そこでしか手に入らない、そして今しか手に入らない限定商品を目当てに、ちょっとお出かけしてみてはいかがだろうか。(編集担当:藤原伊織 )