岸田文雄総理は25日、経済対策に関する会見を行った。「10月中をめどに対策を取りまとめる」。一方、特に具体化を急ぐとして「若い世代の所得向上や人手不足への対応の観点から『年収の壁』支援強化パッケージを週内に決定し、時給1000円超えの最低賃金が動き出す来月から実施する」と語った。
岸田総理は「まず『106万円の壁』を乗り越えるための支援策を強力に講じる。具体的には事業主が労働者に『106万円の壁』を超えることに伴い、手取り収入が減少しないよう支給する社会保険適用促進手当を創設する」。
また「こうした手当の創設や賃上げで労働者の収入を増加させる取組みを行った事業主に対し労働者1人当たり最大50万円を支給する助成金の新メニューを創設する。こうした支援によって社会保険料を国が実質的に軽減し、給与収入の増加に応じて手取り収入が増加するようにしていく。政府としては『106万円の壁』を乗り越える方、全てを支援していく」とした。
岸田総理はこの日の会見で、経済対策取りまとめの目的について(1)物価高に苦しむ国民に対し、成長の成果について適切に還元を行う(2)活発な設備投資、賃上げ、人への投資による経済の好循環を実現し、経済の熱量を感じられる「適温経済」の新たなステージに移れるチャンスをのがさず、後押しすることとした。
そのため「岸田政権では今後3年間を変革期間とし、三位一体の労働市場改革や持続的賃上げを伴う消費の活発化、DX(デジタル・トランスフォーメーション)、GX(グリーン・トランスフォーメーション)など、未来への投資促進やスタートアップ育成を始めとする企業の新陳代謝による経済の供給力強化・高度化などに集中的に取組んでいく」と語った。
総理は「大切なのはスタートダッシュ」などと述べ「国民は物価高に苦しんでおり、個人消費や設備投資も力強さに欠ける不安定な状況にあるので、各種の給付措置に加え、税制や社会保障負担の軽減などあらゆる手法を動員することで熱量あふれる新たな経済ステージへ移行することへの方向感を明確かつ確実にしたい」と力説した。(編集担当:森高龍二)