「深い反省の上に」と陛下。総理の式辞になし

2024年08月16日 07:45

 79年目の終戦記念日を迎えた15日、東京では政府主催の全国戦没者追悼式が催され、岸田総理は式辞で「今日の我が国の平和と繁栄は戦没者の皆様の尊い命と苦難の歴史の上に築かれたものであることを私たちは片時たりとも忘れません」と述べたが、侵略戦争を起こしたことによる周辺諸国への多大な加害に対する詫びの言葉はなかった。

 一方、天皇陛下はお言葉の中で「過去を顧み、深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります」と「深い反省の上に立って」と歴史を直視されたうえでのお言葉を述べられた。

 過去の戦争の大きな過ちに対する歴史への反省の姿勢に触れない岸田総理の式辞と対照的だった。岸田総理は「戦場に斃(たお)れた方々。戦後、遠い異郷の地で亡くなられた方々。広島や長崎での原爆投下、各都市での爆撃、沖縄での地上戦などにより犠牲となられた方々。今、すべての御霊の御前にあって御霊安かれと、心よりお祈り申し上げます」と日本による侵略戦争の犠牲になった日本の兵士ら戦死者のみに向けられたものだった。あえて触れた言葉は「歴史の教訓を深く刻み」の文言のみだった。(編集担当:森高龍二)