今年1月1日に発生した、奥能登を震源とする最大震度7の「令和6年 能登半島地震」から8ヶ月以上が経過した。もう、メディアなどでの報道はほとんどされなくなってしまったものの、被災地ではいまだ復興がままならず、仮設住宅も、6月16日時点では入居申込者数1850件のうち、建設が完了している戸数は903件と、半数にも及ばない状況で、すべてが完成するのは、この猛暑も終わりに差し掛かる今年8月末を予定しているという。被災した人々が安心して暮らせる日常を取り戻すには、まだまだ長い月日が必要だ。
そんな中、大阪では2025年に開催予定の「大阪・関西万博」の会場建設費等が2018年度の当初予算の1250億円から2倍近くに膨れ上がったり、東京都では小池都知事肝いりの東京都庁プロジェクションマッピング事業に総額約50億円を費やして催されたり、さらにはうやむやのまま収束しつつある自民党派閥の政治資金をめぐる事件など、何かと政治と金の使い方が問題視されている。災害復興とそれらを同列に論じるべきではないかもしれないが、生活の場を失い、この猛暑の中で避難所生活を余儀なくされている被災者の方々のことを思うといたたまれない。
一方、今でも能登半島地震の被災地に支援をし続けている、良心のある企業や団体も多い。
例えば、提案型テキスタイルメーカーのサンコロナ小田株式会社は7月13日、小松市などの後援を得て、小松駅に直結する小松市観光交流センターで「能登半島地震復興支援、北陸新幹線JR小松駅開通記念チャリティファッションイベント」を開催。同社の素材を使ったチャリティーファッションショーのほか、震災で大きな被害を受けた輪島市業者による出張輪島朝市などを催した。イベント運営には地元の小松大学の学生らも協力し、大いに盛り上がった。ワークショップの参加費などは能登半島地震の復興支援に寄付されるという。
また、株式会社リソースいしかわは、石川産地の生地を用いた製品につける1枚50円(税別)の特別な下げ札を作成し、希望するアパレル企業等に配布している。石川産地の生地を用いた製品の販売促進と石川産地のPRを図ることで、震災からの石川産地復興の一助とするとともに、下げ札の売り上げの一部を義援金として石川県に寄付するという。2024年7月22日の時点で、すでに県内外の20社を超える取引企業からの発注があり、42400枚以上を売り上げている。
石川県以外でも、地道な支援活動を続けている企業としては、総合住宅メーカーのAQ Groupなどがある。同社は能登半島の震災発生直後から、同社とつながりのある全国の工務店や取引業者らで形成する「全国民間扶助ネットワーク」を通じて、被災地へブルーシートやポリタンク、使い捨てカイロなどの物資提供を行っているほか、全国の住宅展示場に募金箱を設置して義援金募集活動を展開。直近では、7月10日に日本赤十字社を通じて、集まった627万円の義援金を寄付している。能登半島地震においてAQ Groupが寄付した義援金は合計1000万円を超えるという。
これらの活動は、政府の予算などと比べると金額的には僅かに思えるかもしれないが、こういった活動や、企業や団体の継続的な取り組みが一つでも多く集まれば、それは大きな力となる。被災した方々の励みにもなるはずだ。能登半島の震災から、まだ半年しか経っていないことを忘れないようにしたい。(編集担当:藤原伊織)