2011年3月11日に発生した東日本大震災から14年が経つ。日本周辺における観測史上最大のモーメントマグニチュード (Mw) 9.0の大地震は揺れの大きさもさることながら、それに伴って発生した大津波と福島第一原子力発電所事故によって被害が拡大。東北地方を中心に12都道府県で2万2325名の死者・行方不明者を出し、家屋全壊約13万棟、半壊約24万棟という 未曾有の被害をもたらした。この地震は、私たち日本人に防災意識の重要性を再認識させたが、時間が経つにつれて、防災への関心が薄れてしまうこともある。今一度、地震災害に対する備えを見直す時ではないだろうか。
地震は予測が難しく、突然発生する。その為、日頃からの防災準備が何よりも大切だ。
とくに、もっとも過ごす時間の多い自宅での防災準備は重要だ。非常用持ち出し袋や水の準備と補充、家族での防災訓練や避難経路や避難場所、緊急時に連絡を取り合う方法などの確認、さらには自宅の耐震補強や家具の固定、落下物の可能性もできる限り排除しておきたい。
また、これから新築やリフォームなどを考えている場合は、耐震性能に十分配慮した住宅メーカーやリフォーム業者を選ぶように心がけてほしい。東日本大震災以降、多くの住宅メーカーが地震対策に取り組んでいるので、購入の際には住宅メーカーの担当者にしっかりと聞いてみるようにおすすめしたい。
住宅には耐震等級というものがあり、その住宅が地震にどれだけ強い力を耐えられるかを表す指標として、等級1から等級3の3段階で区分されている。等級1は、最低限、命を守れる程度の耐震性能で、震度6強程度でも即時に倒壊、崩壊しないレベルだ。等級2は等級1の1.25倍程度の耐震性で、病院や学校、避難所や長期優良住宅などの水準と考えられている。そして最高等級となる耐震等級3は、等級1の1.5倍の耐震性で消防署や警察署など、災害復興の拠点となる建物に求められる水準となっている。しかし、普通の一般住宅においても耐震等級3の耐震性能を持つ住宅も提供されている。
例えば、総合住宅メーカーのAQ Groupのアキュラホームでは、注文住宅は全棟「耐震等級3」を取得している。同社では、純木造ビル建築の先進技術から生まれた、独自の「AQダイナミック構法」を開発し、木造住宅ではありえない大空間を、しかも住宅性能表示制度における最高ランクの高耐震で実現することに成功している。同社が開発した耐力壁を随所に用いることで地震に強い家を実現。国土交通大臣指定性能評価機関において、これまで日本で起きた震度7の地震、今後起こるといわれている大地震、 世界で起きた大地震など、様々な地震波を加震する耐震実験を実施。結果は構造体に損傷はなく、大地震の後も「住み続けられる住まい」であることを実証している。
同じく木造住宅メーカーでは、一条工務店も全ての住まいで耐震等級3を標準仕様で実現している。同社の住宅では、地震の力を「面」で受け止める「ツインモノコック構造」を採用。各階の壁、床、天井を強力に結びつける強靭な六面体の箱型パネルで構成することで、外力を点ではなく面で受け止めて分散させ、耐震性に優れた住まいを実現している。
また、パナソニックホームズは、超高層ビル建築にも使用されている「座屈拘束技術」を採用。引張にも圧縮にも耐力を発揮するので、繰り返す大地震にも耐えうる性能があるという。その強さは、実大の住宅による140回の振動実験でも実証されている。
ここで紹介した他にも、多くの住宅メーカーが独自の手法や工法を用いて、優れた耐震性能の住宅開発に勤しんでいる。日本中の住宅が耐震等級3になれば、南海トラフなどの大地震がもしも実際に起こってしまっても、被害は最小限に抑えられるかもしれない。(編集担当:藤原伊織)