日本企業に多い3月決算の会社は、まもなく第2四半期決算を迎える。今期は東日本大震災の影響が大きく、長引く不況と重なり経営状態が悪化する不安定な企業も少なくない中、株主や投資家も今後の動向を注視している。
ここ数年存在感を高めている個人投資家は、業績や配当はもちろんのこと、株主の優待制度も重要視していると考えられており、ここにきて各企業の株主優待制度が再びクローズアップされているようだ。
株主優待制度は、会社法上の株主の権利ではないため、実施するか否かは企業の任意となっている。しかし現在は上場企業約3800社のうち、約1000社以上と実施する企業が増加。また、この制度は日本独自のものであり、海外ではあまり無い制度であることも特徴だろう。
株主優待実施企業1019社を対象に株主優待に関する情報を紹介している野村IR発行の「知って得する株主優待」では、昨今の優待制度の傾向が掲載されている。この紙面には、「家計大助かり」「もう手放せない!」「驚き!感動」「家族みんなで楽しめる」「クチコミで広めたい」という5つのテーマに分けて1社以上3社まで選択してもらう方式でアンケートが実施され、各項目のランキング及びすべてを合算した結果が総合ランキングとして掲載している。
その結果をみると、同誌の総合ランキングでの不動の1位は、本年度も日本マクドナルドホールディングス。1冊中に「バーガー類・お飲み物・サイドメニュー」という3種類の商品の無料引換券が1枚となったシート6枚の食事優待券を貰う事ができ、株保有数によって冊数が変わるという内容が人気を集めているようだ。また、昨年に引き続き2位をキープしたダイドードリンコの担当者に株主優待に関して聞いてみると「年に2回、100株以上を保有している株主様を対象に、各3000円相当の自社製品を送りますが、今回はリニューアルするデミタスコーヒー3種類もそのラインアップにセットし、発売前に株主様へ一斉にお届けいたしました」という返答があった。9月19日に発売を開始するデミタスコーヒーは、ダイドードリンコ自体もこの秋、全社を上げて力を注いでいる商品。篠原涼子をCMキャラクターにし、勝負をかけているこの時期、発売前に進呈することで株主の特権を目に見える形で示し、株主に共に新商品をバックアップして欲しいとする方針が、今後の高評価にもつながっていくのかもしれない。
今や各企業の優待制度は株価決定の一端を担う重要な存在になっていると考えられ、個人投資家にとって重要なファクターであると言える。企業も事業展開が不安定な中で、株主に対する誠意を何で見せるのかは千差万別だが、小さなことでも、自社の顧客ともなる株主のニーズを汲み取り、工夫を重ねる企業こそが、信頼を勝ち取ると考えるのも間違いではないだろう。
(編集担当:宮園奈美)