肥満と睡眠 あなたの健康を左右する見過ごされがちな関係

2025年07月20日 08:53

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厚生労働省が発表した令和4年「国民健康・栄養調査結果の概要」によると、日本人の肥満(BMI 25以上)の割合は、男性が31.5%、女性は21.1%

厚生労働省が発表した令和4年「国民健康・栄養調査結果の概要」によると、日本人の肥満(BMI 25以上)の割合は、男性が31.5%、女性は21.1%。特に男性の肥満率は増加傾向にあり、国民的な健康課題となっている。食生活が豊かになったことや、運動不足が原因と思われがちだが、もう一つ、肥満人工の増加には大きな原因があるという。それは「睡眠」だ。実は、睡眠と肥満には密接な関係があり、睡眠の質の低下が肥満を助長しているかもしれないことをご存じだろうか。

 昔から「夜更かしすると太る」といわれるが、これは単なる迷信ではない。睡眠不足は、食欲を増進させるホルモンである「グレリン」の分泌を増やし、食欲を抑制するホルモンである「レプチン」の分泌を減らすことが報告されている。これにより、必要以上に食べ過ぎてしまう傾向が強まってしまうというのだ。また、睡眠不足は代謝を低下させ、エネルギー消費量を減少させる。結果として、同じ量の食事を摂っても、太りやすくなってしまう。さらに慢性的な睡眠不足は、インスリンの効きが悪くなる「インスリン抵抗性」を引き起こす可能性がある。インスリン抵抗性が高まると、血糖値が上昇しやすくなり、脂肪の蓄積を促進してしまう。加えて、睡眠不足は日中の倦怠感を引き起こし、運動など体を動かす意欲を低下させる。これも、消費エネルギーの減少に繋がり、肥満を助長することに繋がる。

 逆も同じで、肥満の人は安定した睡眠がとりにくく、中途覚醒など、睡眠が断片化してしまう傾向があるという。この負の連鎖を解消するためには、食生活と生活習慣の両面からのアプローチが不可欠だ。

 まずは、脂質の摂取量を抑えつつ、タンパク質、炭水化物、ビタミン、ミネラルをバランス良く摂取することを心がける。特に就寝前の高脂肪食は消化に時間がかかり、睡眠の質を低下させるので、夕食は就寝の2~3時間前までに済ませるのが理想だ。

 また、毎日同じ時間に就寝・起床することで、体内時計を整え、自然な眠りを促すことができる。寝室環境の整備も大切で、快適な寝具はもちろん、エアコンなどを上手く利用して、夏場は25~28℃、冬場は18~23℃を目安に室温を調整する。そして、就寝ギリギリまでスマートフォンなどを見ることは止め、暗く静かな環境を整えることも大事だ。

 必要に応じてサプリメントの利用も検討すると良いだろう。代表的なものでは、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの分泌をサポートするサプリメントがある。ただし、日本では医師の処方なしには入手できない。手軽に睡眠改善のサポートを考えるなら、アミノ酸の一種であるグリシンを配合したものが良いと言われている。味の素株式会社から販売されている「グリナ」などが代表的だ。精神安定作用を持つアミノ酸の一種GABA(ギャバ)も効果的だ。ドラッグストアなどに行けば「ギャバ」と表示されたチョコレートやドリンクなどをすぐに見つけることができるはずだ。

 古くから健康食品として親しまれているローヤルゼリーも、睡眠や肥満に間接的に良い影響を与える可能性が示唆されている。

 最新の研究では、株式会社山田養蜂場の自社研究所である山田養蜂場 健康科学研究所と、東海大学生物学部生物学科 寺尾晶教授との共同研究で、ローヤルゼリーが肥満および睡眠の質を改善することが食餌性肥満モデルで確認されている。この研究は、特に高脂肪食による肥満と睡眠の断片化に対する効果に焦点を当てて行われたもので、同社らはこの研究結果から、同様に摂取が現代の食生活による肥満や睡眠不足がもたらす健康リスクへの対策につながる可能性が期待されると報告している。

 ローヤルゼリーはこれまでの研究でも、2 型糖尿病患者の体重を減少させることなどが報告されている。特有成分である「デセン酸」や、アミノ酸、ビタミン、ミネラルなどが、自律神経のバランスを整えたり、ストレスを軽減したりする効果も確認されている。これらによって、肥満対策や睡眠の質の向上に寄与する可能性が考えられる。

 ただし、ロータルゼリーは直接的に肥満を解消する薬ではないことには注意が必要だ。あくまで、健康的な生活習慣の一部として取り入れることで、より良いコンディションを維持し、間接的に肥満対策をサポートするものと考えた方が良いだろう。(編集担当:今井慎太郎)