今回のニュースのポイント
・歴史的な最高値更新:2026年2月に入り、金価格は上昇基調を強めています。2月22日時点では一時1トロイオンスあたり5,150ドル台を記録するなど、節目となる5,100ドルを突破する展開を見せました。
・国内価格の堅調:国内の金小売価格も1グラムあたり2万7千円台後半という歴史的な高水準を維持しており、資産防衛としての実物資産需要が一段と高まっています。
・通貨体制の転換期:最近の講演で黒田東彦・前日銀総裁は、日米金利差の縮小などを背景に、通貨そのものや通貨を取り巻く環境が中長期的な転換点を迎えつつある可能性に触れました。
金の輝きが、歴史的な高水準を塗り替え続けています。2026年2月に入り、金価格は最高値更新を継続しており、一時5,100ドル超えを記録しました。市場には実物資産へのやはり堅調な需要があり、世界的な地政学リスクやインフレ懸念を背景に、強い買い意欲が続いています。この動きは何を意味するのか。それは、世界の中央銀行や投資家が、ドルという単一の基軸通貨に依存するリスクを分散し、より確かな価値の保存手段を求め始めているということです。
国内市場においてもその影響は顕著です。地金大手の店頭小売価格は、1グラムあたり2万7千円台後半というかつてない高値を維持しています。背景には、世界的なゴールドシフトの動きがあります。国際通貨基金(IMF)の統計によれば、世界の中央銀行が保有する外貨準備のうち、ドルの比率は数年前の58パーセント台から、直近では57パーセント台へと低下傾向にあります。
構造的な転換とまでは言い切れないものの、ドル離れの傾向が順次進んでいるのは事実です。最近の講演で黒田東彦・前日銀総裁は、日米金利差の縮小などを背景に、通貨体制そのものというより、通貨を取り巻く環境が中長期的な転換点を迎えつつある可能性に触れました。これは、これまで絶対に安全と思われていた巨大銀行の口座から、預金者が資産の一部を実物資産へ移し、現物の金塊として保有し始めているような、緩やかな信頼の変化に近いと言えます。
影響の整理として、市場では金ETFや現物資産への資金流入が定着しています。家計への影響は、さらに現実的です。日本円が対ドルで不安定な推移を見せる中、金価格の高騰は、円やドルといった通貨そのものの価値がインフレによって相対的に目減りし続けていることを示唆しています。すぐに影響が出るわけではありませんが、新NISAなどで資産形成を行う際、どの程度を通貨以外の資産やコモディティに割り振るべきかという問いが、一般の会社員にとっても無視できない課題となっています。
今後の注目点は3点あります。1点目は、米国の金利政策がドル回帰を促すか、それとも利下げ局面でドル離れの傾向をさらに促すか。2点目は、金を購入し続ける新興国中央銀行の動きが、外貨準備の構成をどこまで変えるか。3点目は、デジタル通貨(CBDC)が普及した際に、金が持つ安全資産としての地位を代替し得るかです。マーケットを見る際、単に金が高いと見るのではなく、世界が資産の避難先として何を選択しようとしているのか、その動向を冷静に観察する視点が求められています。(編集担当:エコノミックニュース編集部)













