今回のニュースのポイント
・現行の「労働時間設定改善法」では努力義務だが、2026年以降の義務化に向けた議論が継続中。
・厚生労働省の調査(2024年)では導入率は5.7%に留まっており、企業の対応の遅れが鮮明。
・休息時間はEU基準の「11時間」を軸に、国内では「9時間」など業種別の例外案も議論されている。
【本編:解説モード】
終業から翌日の始業までに一定の休息時間を確保する「勤務間インターバル制度」について、2026年以降の義務化を見据えた政府の議論が本格化しています。現行の「労働時間設定改善法」において、同制度は企業の努力義務に留まっていますが、長時間労働の是正と従業員の健康確保を目的とした規制強化が検討課題となっています。
厚生労働省が公表した「就労条件総合調査(2024年)」によると、制度を導入している企業の割合は5.7%に留まっています。導入が進まない背景には、実務上の大きなハードルが複数存在します。第一に、既存の勤怠管理システムの多くが「退勤から翌日の出勤までの時間」をリアルタイムで監視・警告する機能を備えていない点です。これにより、インターバル不足が翌月の集計時まで発覚しない「事後報告」が常態化し、実効性のある運用が困難となっています。
第二に、制度導入によって「表面上の労働時間」が制限される反面、自宅でのメール対応や資料作成といった「持ち帰り残業(隠れ残業)」を誘発する懸念が指摘されています。休息時間の定義を「完全に業務から解放される時間」と厳密に定める議論が進む中、企業のコンプライアンス管理はより複雑化しています。
インターバル時間については、EU諸国で採用されている「11時間」を原則とする案が有力視されていますが、国内の物流・医療といった深刻な人手不足に直面する業種からは、「9時間」など柔軟な基準設定を求める声も上がっています。2026年中の施行を目指す義務化議論においては、こうした業種別の配慮や、中小企業へのIT導入支援が焦点となります。現在は議論段階であり具体的な施行日は未確定ですが、企業にはプレ運用を通じた業務フローの抜本的な見直しが求められています。(編集担当:エコノミックニュース編集部)













