【今回のニュースのポイント】
・労働分配率の低下:最高益を更新する企業が増える中、将来の不透明感を理由に「ベア」を抑制する大手の防衛本能。
・「防衛的賃上げ」の限界:人手不足解消のために無理な昇給を強行し、収益が悪化する中小企業の「身を削る」実態。
・職種による格差:IT・DX分野の賃金急騰に対し、物流や建設、介護などの「エッセンシャルワーク」での賃金停滞。
今月18日の春闘集中回答を前に、日本経済は「高水準の賃上げ」という華やかな報道に包まれています。しかし、その内実を覗けば、企業規模や業種による深刻な二極化が浮き彫りになります。
日経平均が5万5000円を超え、円安の恩恵を受ける輸出大手が潤う一方で、多くの労働者が属する中小企業では「賃上げは必要だが、原資がない」という袋小路に追い込まれています。原材料費やエネルギー価格の上昇分を取引価格に転嫁できないまま、人手不足を解消するために無理な賃上げを断行すれば、それは企業の存続を危うくする「毒」にもなりかねません。
また、近年の「賃上げ疲れ」とも呼べる現象が、現場の活力を奪っています。2024年から続く高い昇給率が、必ずしも生産性の向上を伴っていないため、現場では「業務量は増えるが、手取りが増えた実感が薄い」という不満が蓄積しています。2026年の春は、単なる数字の積み上げではなく、産業全体で「適正な価格転嫁」をいかに実現するか、日本経済の構造改革が改めて問われる局面となります。













