物流倒産が高止まり 運べない経済の現実

2026年04月08日 12:47

今回のニュースのポイント

道路貨物運送業の倒産は321件:2025年度の倒産件数は前年度を下回ったものの、過去4番目の高水準となり高止まりの状態が続いています 。

人手不足と燃料高が直撃:人手不足を要因とした倒産が全体の12.5%、燃料高を含む物価高倒産が9.4%を占めており、人に関わるコストアップと燃料高が重くのしかかっています 。

需要がある中で供給が追いつかない構造:リーマン時のような「受注難」ではなく、一定の物流ニーズがありながらも人手不足で「受注をさばききれない」点が現在の特徴です 。

 帝国データバンクのレポートによれば、2025年度の道路貨物運送業の倒産は321件となりました 。前年度からは減少したものの、依然として過去4番目の高い水準にあり、物流現場の厳しい状況に変わりはありません 。その要因として、いわゆる「2024年問題」に伴う人手不足感の顕著化と、中東情勢の緊迫化による軽油価格の高騰が挙げられます 。

 物流業界では、働き方改革関連法による時間外労働の上限規制への対応が急務となっており、長時間労働に依存した旧来の体制は限界を迎えています 。実際に、2025年度の人手不足倒産のうち、道路貨物運送業は55件と全体の1割以上を占めています 。また、軽油価格が一時1リットル180円に迫るなど、人に関わるコスト増に燃料高の問題が加わり、運送業者の資金繰りを強く圧迫しています 。

 帝国データバンクは、急激な景気減速で荷動き自体が停滞したリーマン・ショック時とは異なり、現在は一定の物流ニーズがあるにもかかわらず、人手不足で受注をさばききれないという点で倒産の構造が違っていると分析しています 。こうした状況は、需要があるにもかかわらず人手やコスト要因で供給が追いつかない「供給制約型」の倒産パターンといえます。

 また、構造的な課題として価格転嫁の難しさも浮き彫りになっています。軽油価格の高騰分を運賃へ十分に転嫁できない実態があり、収益が悪化する事業者が後を絶ちません 。物流の停滞は社会全体への波及が懸念されるため、同レポートでは運賃の引き上げや価格転嫁率の改善に加え、再委託構造の是正や共同輸送といった抜本的な改革が不可欠であると説いています 。

 政府によるガソリン補助金などの激変緩和措置も講じられていますが、今後の見通しを立てることは依然として困難です 。これらの構造的な課題が解決されない限り、物流倒産は今後も高水準で推移する可能性が高いとみられます 。モノはあっても、労働力とコストの制約によって「届きにくくなる」という時代が、現実味を帯びつつあります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)