今回のニュースのポイント
短観に「賃金項目」を新設:日本銀行は2026年4月16日、全国企業短期経済観測調査(短観)の見直しに関する最終案を公表し、企業の賃金設定スタンスを把握するための新項目を決定しました。
「所定内給与の前年比」を調査:新設される「所定内給与の前年比(正社員1人当たり)」は、諸手当を含みつつ賞与等の特別給与を除いた、賃金の基調的な動きを測る指標です。
全国短観・金融機関の全対象企業が範囲:調査対象は、全国短観および金融機関調査の全調査対象企業(約10,000社)に及び、企業規模や幅広い業種の動向をカバーします。
在庫判断項目はニーズ低下により廃止:新設に伴う回答負担軽減のため、統計ユーザーのニーズが相対的に低いとされた「製商品在庫水準判断」および「製商品流通在庫水準判断」は廃止されます。
賃上げは本当に続くのか――。その答えを探るための新たな動きが出ています。
日本銀行は2026年4月16日、看板統計である「全国企業短期経済観測調査(短観)」の見直しに関する最終案を公表しました。2025年9月に示された方針に基づき、企業の賃金設定スタンスを的確に捉えるための項目を新設する一方、統計ユーザーのニーズが相対的に低いとされた「製商品在庫水準判断」と「製商品流通在庫水準判断」を廃止し、回答負担のバランスを図る内容となっています。
日銀が「企業の賃金設定スタンスを的確に把握することはきわめて重要」と強調するように、賃金と物価の関係は現在の金融政策における核心部分です。今回の項目新設により賃金の先行きが可視化されることで、日銀が掲げる「2%の物価目標」の持続性や、賃金と物価の好循環の進展度合いをより正確に判断できるようになります。このデータは、将来の金融政策の舵取りを左右する直接的な判断材料のひとつとなります。
新設される項目は「所定内給与の前年比(正社員1人当たり)」です 。回答は「前年比+10%程度以上」から「-4%程度以下」まで、1%刻みの15範囲(例:+2%程度は+1.5〜2.4%)から選択する形式で、「回答不可(わからない)」という選択肢は設けられません 。特徴的なのは、6月調査で「当年度計画」、12月調査で「翌年度予測」を問う点であり、調査対象となる全国短観および金融機関調査の全企業を通じて、将来の賃金水準を先読みできる設計になっています 。
調査対象を「正社員」に限定し、超過労働や賞与を含まない「所定内給与」に絞った点には、日銀の明確な意図があります。短観の設計上、各年度に在籍する正社員ベースで回答を得るため、新入社員や退職者を含む集計となり、実質的に定期昇給相当分を除いた企業の恒常的な賃金引き上げスタンスを抽出できます。実績と予測を一体で追うことで、それが単年限りの一時的なものか、継続的なベースアップを目指すものかという、賃上げの「本気度」を測る物差しとなります。
日銀自身も、短観の新設項目は毎月勤労統計や賃金構造基本統計などの既存統計を補完するものと位置づけています。短観の強みは、業況や収益、物価見通しといった他の調査項目と同じ企業から「賃金の予測値」が得られる点にあります。この多角的なデータは、賃上げの持続性を裏付ける強力な根拠となり、日本経済と金融政策の両方の方向性を決める重要な道標となるでしょう。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













